保坂新の戯言集

どこかの誰でもないアンポンタンがどこかの誰かである人が作った作品にうだうだ一丁前に評価を下すブログです 話半分に流していただければ幸いですTwitter:@chuhri0703

Keyライター考察記事 第三回 魁

こんにちは、さくら、もゆ。はプレイされたでしょうか?

あれはいいですよ!

語ったらうざくなりそうなので語りませんが関係性の形成から根差す感動の描写に関しては歴代で見てもトップクラスではないでしょうか?

テキストの複雑さに関しては確かに厳しいものがありますが積み重ねられたか伏線と関係性、他者を想う気持ちなど見どころはたくさんあります。

気になった方はまずは体験版をプレイしたうえでテキストに耐えられるかどうかを試してからプレイする子音をお勧めします。

閑話休題

そんな関係性の形成を重視するライターですがKeyにもそれを得意とするライターが存在します。それは魁先生です。今回は彼のシナリオの傾向を分析していきましょう。

 

なお今回もネタバレが存在しています。

CLANNAD、星織ユメミライ、銀色、遥か、Summer Pocketsが未プレイな方はご注意ください。

 

魁(雲竜寺魁) 

 

代表作:Summer Pockets, CLANNAD, 星織ユメミライ

 

魁氏のルートにおける特長は「人との関わり合いとそこから生まれる絆」でしょう。この人との関わり合いは複数人のものも一対一のものも含みます。

 

まず氏が全編において担当されたシナリオから見ていきましょう。CLANNADにおいては藤林杏のルートを担当しました。このルートにおける最大の特徴は三角関係でしょう。このルートは非常に重く、昼ドラのような展開が繰り返されます。このため非常に批判が多いルートでもあります。このルートの主題となっているのはどちらを選ぶかになるでしょう。ルート中で杏とその双子の妹の椋が二人のどちらを選ぶかで主人公は揺れ動きます。この描写が非常に不評ではありますが、この痛みこそ氏の書くルートの根底にある人との関わり合いというテーマから生まれるものではないでしょうか。結末としてはいつも妹を優先してきた姉が初めて譲らなかったことを見て妹は身を引きます。このやり取りはどれだけ批判されたルートであっても本当に見事な描写であったと思います。CLANNADにおいて主人公はたくさんの人達とのそれぞれの形の絆を観測していきます。このルートはある意味で最も身近で両親よりも一番近い存在と言える双子の絆を生々しく描き切っていると言えるのではないでしょうか。この他にもある人物とのやり取りがないと決してGOOD ENDに進むことができない柊勝平を担当しており、ここでも人との関わりが大きなファクターとなっています。

 

そんな氏は自分の代表を務めるmanaを経てtone work’sに参加します。このブランドで生まれた名作として星織ユメミライが存在します。この作品ではセンターヒロインを務めた逢坂そら、作中では話の進行役として活躍した瀬川夏希の二人のルートを担当ました。まずは瀬川夏希から見ていきましょう。彼女のアイデンティティーとして写真があります。彼女は卒業アルバムを制作する委員会に所属しており、そのためたくさんの生徒たちとやり取りを重ねていきます。この行動がきっかけとなりこの物語は動き出すことが多く、話の進行を円滑に進める役目を担っています。ここで今作の一つの特長について言及しておかなければなりません。この作品は一人のルートが非常に長く、全ヒロインに学園編とアフター編が存在します。彼女ルートにおいてもっとも語られるべきであると思われるのはやはりこのアフター編でしょう。卒業後写真家の卵として前進する彼女はちょっとした勘違いをきっかけに主人公と入籍することになります。このため結婚式を挙げられずにいたところを同窓会で学生時代のお礼を込めて二人の結婚式を挙げるという流れになっています。ここでもやはり人との関わり合いとそこから生まれる絆の物語となっています。そして逢坂そらのルートでは一対一の関係性が特にピックアップされており、物語の根幹となっています。あらすじとしてはたった一人の天文部であった彼女が主人公と出会い少しずつ関係を深めていき、共に成長していくという物語となっています。ルート自体は大きな困難もなく、主人公を通じて増えていった友人の助けを借りて二人の夢をかなえるという流れでありますが、最後に至るまでの関係性の深め方やその演出が非常にうまくできています。この特長は次に発売した銀色、遥かでも活かされており、担当した蒼井雛多のルートは一対一の関係性と複数の仲間との関係性の両方が物語の根幹になっています。これらに共通するのは日常の何気ない些細なやり取りの描写の積み重ねを最後の爆発力に変えることができているという点ではないでしょうか。

 

ではSummer Pocketsではどうだったのでしょうか。氏の担当したルートは空門蒼です。彼女は前述の瀬川夏希同様話の進行役としての役割を持っています。そして頭がピンクという性格を最大限に活かしギャグパートでは暴走し続けます。この性格はしろは、鴎、紬ルートでも散見されており、更に現在連載中の公式SSにおいてもギャグのきっかけになることが多くなっています。さてそんな日常パートにおける賑やかし役である彼女ですがもう一つ特長となるものがあります。それは友人、島の住民問わずに最も多く人と関わっているヒロインであるという点です。この点からも人との関わり合いを重視したキャラクター設計となっていることがうかがえるのではないでしょうか。ではそんな彼女のルートは作中でどのようなものになっているか?端的に言えば大切な人を取り戻すまでの物語となっています。彼女は幼い頃に自分が起因となって起こってしまった事故によって寝たきりになってしまった姉の空門藍を救うための物語となっていいます。このためその物語に部外者である主人公が寄り添う理由づけのためにはどうして彼女達の問題に関わろうとするかの理由づけをルート突入前に上手く描写しておく必要性があります。このために性格を利用したコミカルな描写が多く使われているのではないでしょうか。蒼が行うことは困難と危険が存在します。そんなことを助けるためにはやはり主人公にも被害が及ぶ可能性が存在するのも事実であり、その理由づけをしっかり描く必要性が存在します。ここに氏のシナリオにおける長所が最も輝いているでしょう。2人がそのような関係性になるための描写は些細な日常描写でさえ丁寧に描かれており、ダイジェストにすることなく感情の変化を上手く描くことで関係性の形成に説得力を持たせることに成功しています。そして最後のシーンにおいてはここまで重ねてきた日常描写を振り返ることでその時どのように思っていたかを描き、カタルシスを生むことに成功しています。このように関係性の成立のために些細な日常を重視した描写を重視して大きな感動を生もうとする傾向が存在します。

 

以上のように些細な日常を重ねていくうえで形成される関係性とその進展、その上で振り返ることで生まれるカタルシスの形成こそ魁氏のシナリオの特長ではないでしょうか?

 

いかがでしたか?

正直に申し上げますとSummer Pockets以前と以後で書いている時期が違うため少しずれが存在している可能性が存在します。

しかし関わり合いが生む絆とそこから生まれる日常による感動は氏のシナリオの特徴であり、tone work'sの大きな軸となっている部分でもあります。

もし今後氏のシナリオを読む場合はどのように関係性を深めていくかに注目してみると面白いかもしれません。

 

さて次回なのですが未定という形にしておきます。

リアル事情だったり書きたいことの明示がしっかりできていないことが要因ですが他のライターの考察記事を書いてみようと考えている部分も存在しているからです。

いつになるかはわかりませんがまた語らせていただきます。

ではその時まで…

さくらもゆをやりながらお待ちください