【ラフノート】アオナツライン
…前回の記事っていつだっけ?
ははは…なんかすいません。
今年プレイしてきた作品の中から簡単な感想を書いていこうと思います。
ネタバレは薄めに書いていますのであまり核心が書けず内容が薄めです。
それでも良ければ是非お読みください。
今回は3月に発売されたアオナツラインです。
0.初めに
エロゲメーカー「戯画」、この名前を聞いたとき何を思い浮かべるでしょうか?
バルドシリーズ、まるねこライン、キスシリーズ…エンターグラムを母体とするという意味でも過去を振り返っても名作や有名シリーズを持つという意味でも大手のエロゲメーカーです。しかしそれと同時にこの言葉も思い浮かべるのではないでしょうか?
「戯画マイン」
いわゆる地雷ゲーの代名詞とも言われるこの単語は多くの戯画ファンを恐怖に落とし、新規のユーザーは戯画を避ける大きな要因となってきたのではないでしょうか?
このアオナツラインも発表当初はそれらの仲間入りすると多くの方が考えていたのではと思います。事実今作は初回版の出荷が少なめであることが期待の薄さを証明していると思いますし事実ディレクターからそれを示唆するTweetが散見されていました。
では実際はどうだったのか?それはこの作品が通常版が販売され、初回版と特装版がショーケースの中に並んでいることからもわかると思います。今回は今作を語ってみましょう。
1.世界観
この作品の世界観は単純にして簡単、普通の学園物です。どこまでも普通、怪異もなければファンタジーもない、権力の強い生徒会も不思議な部活も特別なきっかけも何もありません。あえて言えば仲良し三人組の中に好奇心旺盛なお嬢様と入ってくることで始まる青春物語です。
ならばこの物語は退屈なものなのか?それに関しては全力で否定させていただきます。この作品で描かれるのは一度過ぎてしまったら二度と掴むことができない高校の夏です。その夏は誰でも持っていて、それでも過ぎ去って失ったときに気づき後悔してしまう普遍的なものではないでしょうか?
今作の世界観的なポイントを挙げていくと次のようになると思います。
・5人の主演にスポットライトを当てた青春劇
・鮮やかな背景と原画に裏打ちされた視覚的な青春の夏の一ページ
・夏を思わせるBGMの数々
音楽に関しては通常版が発売された今もなおサントラが付属した初回版が高値で取引されていることからもわかる通りかなりの高品質です。これらの音楽を担当されたえびかれー伯爵はRelieFやぬきたしといった名作でも作曲されており、今作でもその手腕を存分に奮っていました。鮮やかな背景はさくら、もゆ。でも高い評価の要因となったわいっしゅさんが担当されており、原画も新人…といいながら表で有名がイラストレーターを連れてくるといった徹底の仕方です。
ですが今作の物語のベースとなっているのはこれらではありません。今作の最大の評価点は5人の物語になっていることだと考えています。実は今作で立ち絵を持っているのは主人公とヒロイン3人、そして親友である千尋の5人だけであり、そのほかのキャラクターには立ち絵はおろかキャラクターデザインさえ存在していません。これはフルプライスの作品としては他の作品を見てもかなりレアなパターンです。4月に発売された缶詰少女ノ終末世界もテーマの関係からかなり少なめではありましたがそれでも7人です。さらに決して他に登場人物たちがいないわけではありません。結やことねの友人は勿論、海希の姉や父親、他にもスポットで重要な役割を持った登場人物は多く存在します。それでもそれらのキャラクターに立ち絵を与えないことで5人にスポットライトを当てることに注力することに成功しています。その結果描かれたのは期間にしてたった一か月の中に詰め込まれた眩しくて煌めくアオナツでした。
ここから少しネタバレがあるのでお気をつけて
2.古手川結
この作品でもっとも非現実に近い少女であり、この物語を始めるきっかけとなった少女です。それでも天真爛漫でアニメ作品でなら普通にいる活発な感情豊かな少女です。
…正直あまり語ることはない。
いやいいキャラはしているんですよ?ただ他の面々に比べると圧倒的に弱いと言いますか…
彼女のルートでカギとなってくるのはそんな彼女の隣にい続ける勇気を持つことができるのか?という部分になります。そのために悩む主人公の姿がメインで描かれつつ、関係を深めていく姿はなかなか面白いです。全編通して自分に自信を持つことができない主人公が「いる価値があるか」ではなく、「そばに居続ける勇気を持てるか」に考え方が変わっていく姿は丁寧に書けてはいるのですが印象が薄い!
残念ながらかなり印象の薄いルートになってしまいました。
ただ砂浜でのバイト中に流れたある曲は良かったですね…
あの作品たちの血を引いていることがよくわかります。
3.椎野ことね
今年評価の高い作品に高確率で現れることで有名な夏和小さん担当のキャラクターです。この子は体験版と比較するとずいぶん印象が変わりましたね…
可愛くないですか?
可愛いでしょ?
可愛いと思うよね?
可愛いってい(ry
...取り乱しました、でもまじで可愛いです。ドヤ顔ことちゃんマジで美少女。この子がいた時点でもうこのゲームのフルプラ分はペイできました。
さてそんな彼女のルートは夢を見つけることでした。このルートは中々良かったですね…とあるきっかけで気になっていた芸能人になるためにオーディションを受けるのが大きな軸となっています。そんな中で主人公を始めとした4人がサポートしていき、その中で一緒に成長していくという流れです。最初はクソ生意気だった後輩がだんだんと心を開いていくにつれて寂しがり屋なところや甘えてくる姿、そしてやりたいことに対してまっすぐに頑張ることができる強さを見せていく流れは非常に上手かったです。
またこの手の話になると割とご都合主義なところが出てきたりして最後には合格して終わり!というのがお決まりなパターンですがこの作品は違います。この描写が本当に好きですね…
とりあえず何が言いたいっていえば…
ドヤ顔ことちゃん可愛い!
4.向坂海希
さてここまで少しふざけ気味に書いてきましたが、ここからが本番です。(真面目に書いてない訳じゃないよ!)
今作におけるコミュニティは元々主人公である達観、その幼馴染である海希と千尋の3人のものであり、とあるきっかけでそんな彼らと夏を過ごすと心に決めた結とことねの2人が入ってきたことで関係性が大きく変化したことで今回の物語が始まりました。
そしてことねよりも結よりも近くにいたヒロインが海希です。そんな彼女は2人のルートでは失恋を経験します。それも明確に描写さえされます。それでも大切な友人のために彼らのそばに笑顔で行く先を見守ってくれます。
その行動にはとある理由があるのですが…もし発売前に公開されていたら恐らく今のようなプレミア価格になっていないと思います。
このルートの軸になるのは3人の過去と進む道です。活発な海希と物静か目などこか冴えない達観、そしてイケメンだけどどこか不良っぽい千尋の3人がどのように親友になり、時間を過ごしてきたかを描かれます。この描写は本当に見事です。なんていうか3人とも本当に呆れるくらい不器用なんですよね…
どのルートも眩しいほどの「アオナツ」を表現しているのですが彼女のルートは一層その傾向が強く、青臭くて眩しくて本当に羨ましくなる輝く青春です。
3人がそれぞれをどんなものよりも大切に思うからこそ生まれた関係が崩れ、そして前に向かって進んでいくためのシーンは今作でも屈指の名シーンです。
というか今年の作品でも指折りの名シーンになるのではないでしょうか?
眩しい青春を読みたいなら本当にオススメします。
5.終わりに
さて色々書いてきましたが、今作は青春映画のような雰囲気をシナリオ、音楽、そして演出で表現されています。
特にOPとEDの入り方は本当に上手くできていますので是非体験版をプレイしてみてください。
そしてもし気に入ったのならプレイしてみてください。
個人的には平成最後の傑作エロゲの称号を渡したいと思えた出来です。