保坂新の戯言集

どこかの誰でもないアンポンタンがどこかの誰かである人が作った作品にうだうだ一丁前に評価を下すブログです 話半分に流していただければ幸いですTwitter:@chuhri0703

【ラフノート】放課後シンデレラ

6月末に出したサマポケRB以来のラフノートです。

あの記事、今「サマポケRB」とか「Summer Pockets REFLECTION BLUE」と調べると一ページ目に出てくるんですよね。やったね!

そのおかげでビュー数がうなぎ上りです。

ただ贅沢な想いではあるのですが、サマポケRBの記事ばかり伸びてるんですよね…なんとも悲しい。

まあそんなものではありますが、他の記事も興味を持ってもらえるような記事を書きたいものですね。

閑話休題

さてこの2ヶ月間ひたすら夏ゲーをやっていました。ATRIから始まり恋愛借りちゃいましたのFDははさみ、サマポケRBを終わらせ7月からは積みゲーとこれまで機会がなくやれていなかった作品をメインにしてきました。制約をかけると移り気に作品を行ったり来たりすることもなく結構効率よく進みましたね…ひまなつやクロチャンをやれたのはそのおかげかなと思っています。

そんな夏の締めとして新作をやると決めていました!それは…

放課後シンデレラです!

...いや本当はかけぬけ★青春スパーキング!をやって夏を終わらせる気だったんですよ。でも放課後シンデレラが予想の何倍も面白そうなので制約を破ってでもやりたくなったんです。仕方ない!

そんな感じでプレイしましたがまあ相変わらず面白い。

最後まで終わってよかったなーと持っていたのですが、その状態が長時間続いており、これは新作進行に大きく影響を出してしまうなと思い、ラフノートをひろげてみた次第です。

アイスキも良かったですが今回も良かったですね...え?アイスキのラフノートは?

 

...さて行きましょう!今回もお付き合いを。

0.初めに

アイスキと出会ってからもうすぐ1年近くになるのですね…正直時間の流れに戦々恐々しています 。あの時感じたこの作品は面白いという印象と実際に表れた作品の面白さは今も色あせていません。あの後幾度となくあの作品の記事を書こうとしたのですが毎回手を止めてしまっていました。

理由は簡単です。自分がHOOKSOFTに対して無知であったことです。本当に面白いものを読ませてもらいましたし、発売前のインタビューも読ませていただきました。そのうえでこの人たとの作ってきた作品のことを全然知らないんだなということを突きつけられて、そんな自分がこの作品のことを何か書くのは烏滸がましいなと思い、没にしました。まあでもどこかで語りたいのでHOOKSOFTの作品を全部終わらせた頃に一度語ってみてもいいかもしれませんね。

さてそんなこんなでプレイしてきました。EスクールライフI×SHE TellPriministArやMeltyMomentも購入してました。そして後者2つはHOOKSOFTのまとめ版に入っているとのことで被りました!

畜生もう少し早く言えよ!と当時嘆いたのを覚えているGW前でした。

そんなBOXと一緒に発表されたのが今回の放課後シンデレラです。アイスキから嵌まってEスクールライフやI×SHE Tellで少しだけわかった気でいた自分でも今回の作品はまた面白いものを作ってくれるのだろうと心から信頼できるものでした。当時いくつかタイトルの発表がありましたが一番嬉しかったですね。クラリアスも嬉しかったですが。

そんなこんなで追いかけているうちに発売日が近づいてきたある日、エロゲ雑誌内でディレクターの宅本うとさんのこの作品のコンセプトへの話が非常に面白かったです。

要約すると日常を大事にする学園ものの定番として学園祭などのイベントを取り扱うことが多くあります。でもそれは冷静に考えると非日常のもので本当の意味では日常ではありません。なら本来の意味での日常で出会いやイベントがあるのはどこか?それは放課後なのではないかというコンセプトのもと作られています。そしてそれを最大限に活かし切った作品となっていました。

1.世界観

f:id:chu-linozaregoto:20200830185904p:plain

さて今回の舞台はいつも通りの普通の街です。 

前作は背景原画が複数人参加されていたのですが、今回は一人です。それでも変わらないクオリティですね、これだからクリエイターを追いかけるのはやめられません。とりわけ今回はヒロインがいる場所を選んだら背景にヒロインが現れるというギミックもあるので特に注目されやすい要素だったのではないでしょうか?自分は今回掲載している高台と自然公園の背景が好きでした。

今作の大きなギミックとして放課後の帰り道を選び、ヒロインと出逢って下校する問う物があります。ならもしヒロインと出会えなければどうなるか?その場合待ちの愉快な住人たちの日常を垣間見ることができます。これが結構面白く、共通の頭のおかしいモブたちも合わさって作品への没入感を高めてくれます。ただこれもあくまで日常の1ピースであるので特別な出来事ではなく、八百屋のおじさんや小学生と戯れる同級生、ガチャを引いて大騒ぎしている学園生などあり得そうなものが多いのが実際のとことなのでコンセプトからも大きくは離れていないのも高評価でした。まあみんな頭おかしいですけどね!

音楽に関してはここ数作SMMEとHOOKSOFT両方が起用しているSONO MAKERSが担当していますが今回もかなり良かった。日常シーン用の曲とここぞというときに流す曲両方がバランスよく作られていてどちらも大好きです。

とくに「魔法よりも大事なひとかけらの勇気」、「ラグジュアリーデイズ」、「これまでも、この先も」辺りは勝負のシーンでうまくかかっていたと思います。日常曲なら「クリスタルオアシス」、「瞳に映る夕日のハイライト」辺りが印象的でした。

気になる方がいればまずは体験版をやってみるのが一番です。モブの頭おかしさは薄いですが、やりたいことはここに詰まっています。

 

2.共通ルート

f:id:chu-linozaregoto:20200830212245p:plain

共通ルートは主人公が街に戻ってきてヒロイン達と出会うPROLOGUEとヒロインピックアップパートに分かれます。

前者は変わってしまったものと変わらずにそこにあるものの描写と何気ない日常にある特別を知る流れがお気に入りでしたね。この辺はそれぞれ陽佳と多乃実のルートの核の部分になります。

 

後者はヒロインがどんな子かを知るためのシナリオです。ルート突入前にヒロインのことを知るためのシナリオと考えてもらって大丈夫です。このシナリオだと印象に残るのはやはり多乃実とのタピオカを買いに行く部分でしょうか?かなり笑いました。

 

さてここからはネタバレです。HOOK作品にネタバレもくそもねえ!という人以外はおかえりください。

 

3.長南 陽佳

f:id:chu-linozaregoto:20200830192433p:plain

どうでもいいですが、名字読めなくね?

彼女は所謂再会系幼馴染ヒロインです。その中でも恋を諦めて変わることを選んだ少女ですね。確かに幼少時のCGと比べると激変していて主人公が驚くのも理解できます。

そんな彼女ですが主人公と過ごすにつれてもう一度恋に落ちていく過程が非常に上手く描かれています。この辺はザッピングを上手く活用できているのが大きな要因だと思いますね。主人公の見えないところでお帰りという姿なんかはニヤニヤが止まりませんでした。

そんな彼女との恋愛ですが、表面上は付き合うまでと大きく変化する部分はありません。ですが一緒に過ごすにつれて見せてくれる表情が増えていく姿は良かったです。特に印象的なのはギャル友達とのシーンですね、嫉妬する姿はかなり可愛かったです。

そして彼女を語るに欠かせないのは友人のミサち。この子は共通ルートでもその強すぎる個性を振りまいていましたが陽佳ルートでもいいアクセントになっていたのではないでしょうか?カラオケの件は大好きです。後弁当の話も。

全体でいえばもう少し過去の話を入れてほしかったなというのが正直な印象ですね…幼少期CGも1枚だけで具体的なエピソードも口頭でしか語られません。ただ振り返るのではなく今を一緒に歩いていくのが彼女のルートの大事な要素なので書き過ぎても良くないかもしれません。そしてラストシーンの本心を曝け出す姿は非常に良かった。陽佳ノ口にしたきっかけで生まれる恋もあれば積み重ねていくことで生まれる恋もあるという言葉はこのゲームの本質をついていて大好きです。小さな偶然と呼ぶには些細な日常を積み重ねていくうちに変わっていく関係性というのは自分にとってノベルゲームの醍醐味だと思っているのでこれを言葉にしてくれたのは本当に嬉しかった。

 

4.築島 つくし

f:id:chu-linozaregoto:20200830192449p:plain

小動物系おどおど後輩ヒロインです。

この子のルートは一歩ずつ一緒に関係を深めていくことが大きな主題だったように感じます。選択肢が出ている頃の隠れていた頃の姿も可愛かったですが、少しずつ隣でいることに自信を持っていく姿も中々良かったです。

基本的にはつくしの可愛い姿を追うルートなのであんまり語るところがないのですが、最後の結婚式のCGは綺麗でしたね…ただヒデやゴローにはしゃべらせてあげても良かったのでは?とは思いましたが。後学生結婚が増えたみたいなことを言っていた気がしましたがそれはどうなんだ…?

 

5.王城 茉莉愛

f:id:chu-linozaregoto:20200830192416p:plain

なんでこの子だけCGなのかって?この子体験版では立ち絵が出てきません。

共通ルートでは極端…というか最後に一瞬だけ出番があるだけの彼女です。しかも進展1に進むまでそもそも立ち絵も出てきません。そんな彼女ですが登場してからは驚異的な追い上げを見せるかのように一気にヒロインレースを全力疾走で駆け上がってきます。

システムの帰り道で会話のシステムを一番効果的に使えていたのは彼女のルートだったのではないでしょうか?やり取りも選択肢の量も他のヒロインと比較してもかなり多めだった印象があります。ここの会話をしている感覚が天真爛漫な彼女の個性とぴったりと合っていて楽しい会話が上手く組み上げられていたと思います。

そして彼女を語るうえで絶対に欠かせないのが校門の前で待っている姿です。これが本当に素晴らしかった。ゴローの占いで校門にいることを教えられるのですがそこにたたずむ彼女の姿がマジで可愛いんですよ。主人公を見つけたときの嬉しそうな表情とかも含めて最高でした。

肝心なヒロインルートですがかなり番外編色が強めですね。そもそも学校の描写が少ないです。主な舞台になるのは彼女のお屋敷で途中から同棲を開始したり、キャラの濃いメイドと執事による騒がしい日常やちょっと(?)頭のねじが外れた両親など中々愉快な日常がメインになっています。というか日帰りでさくらビットマップの舞台にまで行くとかぶっ飛びすぎだろ。この辺の金に物を言わせた展開の数々は爆笑しかしてなかったです。まあ茉莉愛が滅茶苦茶可愛いのでどうでもいいんですけどね!

インタビューでもこの茉莉愛は今回のコンセプトを考えたうえで他校の子が校門で待っていたら嬉しいという想いから生まれたヒロインであったようですが、その願望がこれでもかと詰め込まれた女の子です。本当に可愛かった。

このシナリオを始めた瞬間に攻略順を間違えたかと思いましたが、別の因果でした。この話はこの後に。

 

6.宇佐川 雪子

f:id:chu-linozaregoto:20200830192502p:plain

からかい系ポンコツ先輩ヒロインです。

この人は付き合う前と付き合ってからの表情のギャップが印象的でした。

付き合う前は徹底的にからかいまくって主人公を女性不信にまでもっていきそうな勢いでしたが、恋心に気づいてからの悩める乙女の表情は中々良かったです。からかいまくったせいで自分の想いを打ち明けても信じてもらえないんじゃないかって悩む姿も可愛くて好きでした。

そして付き合ってからはそれまで見せてくれなかった表情も見せてくれるようになってきます。弱点が見えていくにつれてからかっていた人がからかわれるようになってそのポンコツさを晒していく姿はさらに可愛さを増していくばかりでかなり楽しめました。

さて彼女のEDですが…これも彼女らしいですね。結婚EDではない唯一のヒロインではありますが、二人の関係を見れば割とぴったりですね。その先でどんな関係になるのか気になりますがきっと幸せに馬鹿をやっていそうですよね。

 

7.田寄 多乃実

f:id:chu-linozaregoto:20200830192438p:plain

 不思議系活発同級生です。こうやってみると結構属性がばらつくようになっているのですね、流石です。

彼女の影響で放課後を探検するようになるのですが、そんな日常を重ねていくうちに特別になっていくのが彼女との物語です。そんな彼女との物語なので恋人としての2人と探検仲間としての2人の関係性の両立は上手くいっていたのではないでしょうか?一緒に馬鹿をやっている姿も心を重ねる姿も両方が彼女との物語の大きな核でした。

印象的に残っている姿はやはり病み猫のキーホルダーを無くしたときの表情でしょうか?主人公にとっては些細なものかもしれないけどそれをもらったこととそれをもらった日の思い出の証を無くしてしまったことに悲しむ彼女の姿はなんとも彼女らしいなと思えるものでした。

さてそんな彼女ですが、どうしてそんな風に日常に大切さを見いだせるのかの過去の話もうまく描かれていたと思います。両親を亡くしたという悲しい過去を重すぎず、だからこそこのように育ったという個性の補強にもなっていて上手くできていたのではないでしょうか?今は亡き両親に向かって2人の幸せを見守ってほしいと語る彼女はやっぱり魅力的です。

そしてラストのやり取りですね。この描写が本当に良かった。一番最初に運命を信じるかという問いかけがここで1つの答えが描かれます。この答えは主人公は意外そうにしていましたがこれを言ってくれるヒロインが生まれたことが本当に嬉しく思います。ノベルゲームにおいて選択肢とそれによって分岐していくものは些細な積み重ねであり、運命なんて言葉は過ぎたもので我々が選ぶたった1クリックで大きく変わっていきます。その1クリックを積み重ねて生まれた道を2人が結んで歩いていく、これがノベルゲームだと思っています。だからこそ運命なんてものはなくて自分が選んだものの先にあったのが今ここにある未来だと言い切った多乃実の言葉は本当に嬉しかった。

そして彼女と陽佳のルートは裏表の関係に少しだけあります。幼いころに高台で迷子になっていた多乃実を助け、その姿にあこがれて主人公に恋をした陽佳という構造があり、その真実は2人のルートを終えた後に気づくことができるのですが…こういうのいいですよね。他の作品でもこういう要素が入ってくると否応なく思い入れが強くなってしまいます。

ところで最後の選択肢は皆さんは何を選びましたか?もちろん私は…

 

8.終わりに

HOOKSOFT20周年を象徴する作品として最高の出来だったのではないでしょうか?

正直に言うとアイスキと比べると積み重ねた日常の違いとそれによる変化を描き切ったアイスキの方が好きなのですが、この作品も現状HOOKSOFT史上2番目に好きな作品です。

ただ今の自分ではまだこの言葉に説得力なんてなくてまだまだやっていない作品はあります。だから全部終わらせた後にもう一度、それこそ他の作品も合わせて語れたらいいなと思います。

とにかく自分から言えることは一言、今年もキャラゲー部門ならHOOKSOFTがナンバーワンです!いい作品でした。次の20年も頑張ってください。応援しています。

 

p.s.

ということで誓いを破りました。

禊は必要です。

ばぁばやります。というか買ってきました。