保坂新の戯言集

どこかの誰でもないアンポンタンがどこかの誰かである人が作った作品にうだうだ一丁前に評価を下すブログです 話半分に流していただければ幸いですTwitter:@chuhri0703

自分の好きな作品の好きなところをまとめてみる後編

さて後編ですよ後編です!

ここからはかなりクセの強い作品が多くなってきます。

とてもじゃないけど万人に勧められられないような作品も多かったり…

ただ私にとってやはり大切な作品です。

もし時間が許せば一読を…

なお今回も結構がっつり書くので不快に思わる場合もありますがご容赦を。

またネタバレも少し入っていますのでご注意ください。

 

 

11.ef -a fairy tale of the two.

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ストーリーは二部・六章構成で成り立っており、1作目にあたる『ef - the first tale.』には序章と広野紘・宮村みやこ新藤景・雨宮優子らを中心にした物語第一部前編(1、2章)が、2作目にあたる『ef - the latter tale.』には新藤千尋・麻生蓮治・火村夕らを中心にした物語第一部後編(3章)と物語第二部(4章)、終章が収録されている。第一部で『ef』という作品のテーマが提示され、第二部で物語が収束されるという章立てとなっている。それぞれの章が一つの物語として完結し、かつすべての章が組み合わさった時『ef - a fairy tale of the two.』という1つの物語が明かされるようになっている。

ef - a fairy tale of the two. - Wikipedia

http://www.minori.ph/lineup/ef/index.html

ここにきてようやく初の冬の物語11作目、先日解散を発表されたminoriが生んだ映像面では類を見ない歴代最強クラスの名作です。

4つの始まりと1つのカーテンコールを紡ぐ物語とでも言いましょうか、複数のカップルの物語を群像劇的に描く作品は非常に珍しく、ノベルゲームではこれくらいしかないのではとも思います。

この作品もアニメが有名なんですよね…まああれですよ、

アニメ見ましょう 

いや違うんですよ、この作品に関してはアニメを見た方がいいシナリオがあります。宮村みやこの物語に関しては絶対にアニメの方がいい。アニメの製作はシャフトが行っているのですが、この作品のアニメがシャフトの最高傑作とも言われるほどにはクオリティが高いです。とりあえずef - a tale of memories.だけは見てください。まじでいいです。ただ後半のef- a tale of melodies.に関してはゲームの方がいいかなーとは思います。音楽や勝負の一瞬の演出の上手さ、後は改変されてしまった部分も含め個人的にはゲームの方が好きです。

またこの作品の注目点と言えば何と言ってもOP、こちら新海誠監督が作っています。まじで綺麗です。とりあえず見ましょう。ef - the latter tale.のOPは特にヤバいです。

そして物語、前述のとおり4つの始まった物語と1つの終わってしまった物語が上手く重なり合うことで1つの物語となっています。この重なり方が本当に上手くできています。背中を押されて走り出した誰かの一歩に励まされ誰かが一歩を踏み出し、悲劇で終わってしまった彼らの物語にカーテンコールを迎えさせることができる、そんな構成になっています。個人的には群像劇的な構成は好きなので増えてほしいのですが…難しいのですかね…

この物語の最後に語られる

It is a tale of the "Will".

この言葉の本当の意味に気づいた時は本当に鳥肌物です。

minoriが解散するにあたって危惧されるのはef - a frst tale.のパッチのDL先がなくなることです。これは結構致命的なので買うならお早めに。

(minoriはこの路線を続けられていたらまた違ったんだろうなと思わずにいられない。)

12.水葬銀貨のイストリア

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海上に作られた人工島である水の都・アメマドイでは一見、華やかで彩りのある美しい町並みだが、様々な陰謀が渦巻く。

水葬銀貨のイストリア - Wikipedia

kagura.rdy.jp

冬が続きます12作目。

選択に次ぐ選択を突きつけられる悪意の中を足掻く主人公の物語です。

このゲームのキャッチコピーは「ハッピーエンドを約束しよう」です。

ふざけんな、詐欺だろそれ

この物語、とにかく主人公が徹底的にいじめられます。味方は基本的にほとんどいません。そして敵の皆さんは喜々と主人公たちを地獄に叩き落してきます。某ライターが主人公の境遇はハードモードがいいと言ってましたがこの作品はやりすぎです。

この作品の象徴ともいえるのが一番最初の選択肢だと思います。この選択をプレイヤーにさせる重さは流石ルクル先生という言葉しか出てきません。そしてその選択をした罪を突きつけるように個別ルートは短いです。相変わらずではありますが物語から脱落した場合それを咎めるかのような構成は癖があるというかなんというか…個人的には大好きですが敵を作るだろうなーという感想ばかりが出てきます。

しかしオーラスルートは今回はしっかりと幸せな未来を描き切れています。物語から脱落して救えなかったものを知っているからこそ最後のシーンは輝く、そんな構成になっておりその点ではしっかりハッピーエンドを描き切ることができているともいます。

、…ただ重い、ひたすら重い。そこまでたどり着くのがかなりしんどいと思いますが是非頑張ってください。

後この作品EDがありません、それどころかバグもありますし誤字まみれです。

その点も頑張ってください。

シナリオと心理描写は本当に面白いから!

(いやまじで誤字と演出は何とかしろよ…そこで評価下げているんだからさ…)

13.グリザイアの果実

 Grisaia1

物語の舞台は三嶋崎という名の海辺の町である。2011年5月現在、三嶋崎には約1年前に設立された「私立美浜学園」という全寮制の学校が存在している。同月24日、主人公の少年・風見雄二がここへ転入生として訪れることから物語は始まる。外界から隠すように、そして守るように高くそびえる塀に囲まれた美浜学園。生徒はわずか5名しか在籍しておらず、その誰もが女子であった。唯一の男子生徒となった雄二は、個性豊かな女子生徒達に囲まれ、賑やかで平和な毎日を過ごしてゆく。だが、そうした一見明るい日常とは裏腹に、美浜学園の5人の女子生徒達には、それぞれ他人には聞かせられない暗い過去が秘められていた。雄二は学園生活を送るうち、5人のうち1人の女子生徒が抱える秘密を知ることになる。 

グリザイアシリーズ - Wikipedia

frontwing.jp

続編の映画の公開も公開中13作目。

5人のどこか歪な少女達と壊れかけの少年の救済の物語です。シリーズ化されていますが今回は果実だけの感想です。

この作品は実はCS版プレイなんですよね…なのでエロゲ版は実は知らなかったりします。ただ今作Hシーンも気合は入っていますがそれ以上に重要なのは5人のトラウマと向き合う物語です。

今作は共通パートのコミカルなシナリオに隠された伏線や見え隠れするヒロイン達の闇の描写が一つのポイントではないでしょうか?このおかげで個別ルートに入っていきなり明かされる各ヒロインの過去への違和感は薄くなっています。SD原画であるななかまいさんを最大限使うことでコミカルに狂気を描くことに成功しています。

では個別ルートはどうなっているか?そりゃもうドロドロです。父親との不仲で傷害沙汰を引き起こした由美子の過去がぬるく感じるレベルで各ヒロインがえぐすぎるトラウマを抱えています。そんな彼女達の物語に主人公が向き合うことになるのですがたった一つの選択肢で天国と地獄に分かれます。というか大体誰か死にます。由美子さんは割と幸せそうにしてますが他は地獄行きです。ただその分天国の方のシナリオは中々なものになっています。特に気に入っているのは天音と幸です。幸ルートのトラウマの原因となってしまっていた両親の本当の想いを知るシーンは本当に良かった…彼女の物語はFDも合わせてみるとさらに感慨深いものになりますので迷宮の方も合わせて評価してみてください。そして天音ルート、これはマジでレベルが違う。通称エンジェリック・ハウルで描かれる壮絶な過去とその清算のための未来の物語は当時シナリオを読んだ自分に衝撃を与えたのを今でも覚えています。特に清算のための未来のシナリオの終わり方は良くここまで書いたなというのが本音です。是非彼女の物語の結末を見てほしいです。

この作品もアニメ化されています。でもやっぱりゲームでやってほしいですね…シナリオが大きく変更されてしまったヒロインがいれば短縮されてしまったヒロインもいます。そして天音の物語の結末はアニメでは描かれることはありませんでした。そういう意味でも是非ゲーム版をやることをお勧めします。その後に迷宮、楽園、ファントムトリガーのプレイも忘れずに!

(ファントムトリガーはvol.4とvol.5が至高のシナリオ、ぶっちゃけvol.3は…)

14.はつゆきさくら

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 2つの復讐心を抱える主人公・初雪は、不良と呼ばれながらも律儀に白咲学園に通っている。卒業を控えた初雪は、学園やアルバイト先で様々な事情を抱えた少女たち(転校生の玉樹 桜・浪人生の小坂井 綾アイスダンス選手のあずま 夜・初雪を尊敬する東雲 希・受験生のシロクマ)と交流していくうち、やがて1人の少女と恋仲になる。

はつゆきさくら - Wikipedia

sagaplanets.product.co.jp

 そろそろ記事の長さに戦慄し始めてきたぞ14作目。

 後悔を乗り越え過去から卒業していくための物語です。

この作品が出た年って自分が高校を卒業した年なんですよね…ちょうど初雪達と一緒に卒業していたことをプレイした後に気づきました。新島夕がSAGAPLANETSに残した最後の物語です。

この作品は今のところ唯一の新島夕単独シナリオの作品となっており、力尽きた様子がちらつく部分は幾つか存在しますが名作として語り継がれてきました。卒業と春という季節の象徴する出会いと別れというテーマを過去との決別に結ぶ付けることで一つの軸としてテーマを形成で来ている作品です。

この作品は伏線の回収の爽快さはあまりありません。ただ各ヒロインの物語に寄り添うことで少しずつその全貌が明らかになっていく構成になっており、それまで語られて来た思わせぶりな発言の意味が理解できるようになっていきます。このため伏線よりも布石を回収していくようなイメージが正しいと思います。また個別ルートに関してはこの布石を敷くために特化してしまったルートも存在し、個別ルートの出来は甘いと言いざる得ないと思っています。しかしオーラスルートの出来は見事です。これまで敷いてきた布石を一気に回収しつつメインヒロインである玉樹桜の想いを知り、過去に生きるのではなく未来に生きることを決める主人公の物語は見事です。そして卒業式の後に校舎を周り、縁ある友人や先生たちの元をめぐるシーンは中々の出来となっています。

今作を語るにはもう一つ作品を挙げなければいけないと思います。それは四季シリーズの一作であり、サガプラの名を上げたナツユメナギサという作品です。この作品は今作とある部分で対になっています。今作を考察されるなら絶対にやりましょう。どちらも名作です。

(白咲ヤンキースの扱いの雑さはちょっと不満、というかこれのせいで評価を下げている部分がある)

15.リトルバスターズ! EX

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主人公・直枝理樹は、幼馴染である棗恭介、その妹である鈴、同じく幼馴染の井ノ原真人、宮沢謙吾と共に全寮制の学校に通っていた。彼等は昔、何かを悪者に見立ててそれを成敗する正義の味方「リトルバスターズ」を結成し、色々なことをしてきた。両親と死別し塞ぎこんでいた理樹にとって、自らを外に連れ出し広い世界を教えてくれたその存在は大きかった。時に無茶苦茶で考えられない行動をする彼等に巻き込まれながらもそのことを楽しく感じて彼らと一緒にいた理樹は、「ずっとこの時が続いたらいいのに」と考えていた。

ある日、3年生である恭介が就職活動から帰って来た。理樹は「リトルバスターズ」の4人に、「昔みたいに何かしよう」と持ちかける。それを聞いたリーダー・恭介は近くに置いてあったボールを拾い上げ、宣言するのだった。

「野球チームを作ろう。……チーム名は、リトルバスターズだ!」

リトルバスターズ! - Wikipedia

key.visualarts.gr.jp

実はコンテンツの進行をリアルタイムで触れた初のKey作品である15作目。 

ほんの少しの勇気とたくさんの優しさで未来を作る物語です。

この作品を見るたびにみんな同じことを考えると思うんですよね…

こんな青春を過ごしたかった。

この作品の大きな特徴にして最も評価されている点はやはりシナリオの緩急ではないでしょうか?前半の共通パートでは楽しくいつまでも続いて欲しいと思えるような賑やかな日常と愉快で個性豊かな友人達の存在から生まれる理想的な青春の日々を、そして後半のオーラスルートから語られる世界の秘密と酷くてどこまでも救いのない現実の対比が大きな特徴だと思います。

この作品に関してはアニメもなかなか出来が良いです。ただ世界の秘密のための描写が甘くなってるのでやっぱりゲームをやってほしいです。ある少女を除くヒロイン以外が物語を終えた後その影を薄めてしまう理由はいいギミックになっていますが、それはアニメ版では活かされていません。またその他にもラストシーンのある大事な選択も省略されてしまっているのでその部分も見てほしいです。もしアニメもゲームもやってないのならゲーム版を先にやることをお勧めします。

そして無印版からEX版になるに当たって追加された3人のヒロインの物語も面白いので是非やってください。特に朱鷺戸沙耶の物語は流石麻枝准というシナリオになっています。たくさんの苦悩と絶望の先に彼女が得た答えに是非辿り着いてください。

個人的には結構好きな部類に入る作品なのですが実は個人的にどうしても引っかかっているところがあったらします。それは個別ルートの扱いです。世界の秘密を知ると理解できるのですが正直救いがないんですよね…後踏み台になっている部分もあります。この部分さえなければもっと評価できるんでしょうけどね…

ただ親友のために命さえ賭すことができる彼らの生き様は本当に見事です。ネタバレで核心を知っていたとしても是非やってみることをお勧めします。

(個別の雑さだけは本当に残念。オーラス前提のシナリオは良くない。)
16.恋×シンアイ彼女

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 國見洸太郎は、御影ヶ丘学園に通う、小説家志望の高校生。しかし、過去の失恋が原因で恋愛小説だけはどうしても書けなかった。そんな中迎えた高2の春。御影ヶ丘を含む3校の統合、そして幼馴染の帰還。それをきっかけに、洸太郎をとりまく環境と日常は大きく変わっていく。

恋×シンアイ彼女 - Wikipedia

ustrack.amusecraft.com

ぶっちゃけ選ぶのを死ぬほど悩んだ16作目。

音楽にNTRれたとか言ったやつ覚えとけよ?

この作品に関してはそりゃダメでしょって部分は多々あります。特にコンセプト詐欺に関しては擁護する気は一切ありませんし最悪なことだと思っています。ただ描こうとしたテーマと2人の選んだ結末を否定する理由にはなり得ないとも思っています。

まずは物語の構成から、この作品は3人のヒロインに関してはしっかりハッピーエンドを描けています。その中でも新藤彩音のルートに関しては見事なまでのハッピーエンドで秘めていた恋が成就する喜びと煌めきが上手く書けていると思います。しかし残りの1人、賛否を大きく分けた少女である姫野星奏に関してはハッピーエンドは約束されません。彼女は主人公の元から姿を消します。それも一度ではなく三度です。姿を現わす度に主人公の心を揺さぶり、そして傷つけます。これらの行いはやっぱり咎められるべきだと思いますしコンセプトからも逸脱した最悪な行為だと思います。

ただ起こしてしまった出来事よりもなぜそのようなことをしてしまったのかをもっと見つめるべきだと思っています。確かに彼女は主人公を利用します。ですがその対象になり得た理由や他のキャラクター達から語られる彼女の人柄から色んなものが見えてくると思います。この作品は最後の瞬間まで隠し続けた彼女の本心を解き明かすまでの物語になっていると断言してもいいと思っています。EDで流れるGLOURIOUS DAYSの歌詞や作られたタイミング、初めて手紙をもらった時の彼女の喜び、そして最後の別れの涙の理由、そういう部分にもっと向き合って作品を読み進めるべきだと思います。

この作品はレンアイ彼女ではなく、シンアイ彼女です。この意味に気づくことができた瞬間こそこの作品の真価がわかるのではないでしょうか?互いに好意を持っていたからこそ結ばれることがなかった2人の物語に本気で向き合ってください。ちなみにどんな形になろうとも2人のその先を見たいとずっと思っています。Einsteinでこのスタッフが再集合することが決まっているので是非いつかこの作品の続きを垣間見ることができる作品を期待しています。

(というかコンセプト詐欺も新島が書いてる時点で色々察することできるだろ…) 

17.Clover Day's

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 親に捨てられ、イギリスの養護施設で育てられた優人は、貿易商を営む鷹倉義臣の養子となり、日本へ移住することとなる。

日本語がほとんど話せず生活に苦労する優人であったが、双子の義妹である杏鈴と杏璃、初等部のクラスメイトである竜胆つばめや結橋泉たちに支えられて、かけがえのない絆を育み、幸福な幼少時代を過ごした。そして10年の月日が流れ、誠実な好青年に成長した優人の前に、10年前に海外に引っ越していったもう一組の双子の幼馴染である加賀美ヘキルと加賀美ヒカルが現れる。ヘキルは10年前に交わした幼い日の約束を果たすために帰ってきたと口にする

Clover Day's - Wikipedia

www.alcot.biz

そろそろゴールが見えてきた17作目。

いやー名作ですよね!

…お前まだ全部終わってねえだろ?

終わってませんが何か?

…ごめんなさい終わってないのですが選びました。そのくらい今作が好きです、はい。

今作はALcot10周年を記念して作られたデビュー作Clover Heart'sから10年後の世界で描かれる物語です。私はClover Heart'sはプレイしていないのですが共通する登場人物やその親類など前作を思い起こさせる要素が多く配置されているようです。ただ今作の1番の軸は幼馴染達の絆と変わっていく関係だと思います。

現状プレイ中なのに今作がこの中に入ってきた理由は主人公の双子の義理の妹達にあります。まずは妹の鷹倉杏璃から、彼女は割とわかりやすく好意を抱いていることを何度も提示されており、個別ルートの軸は一歩踏み出して想いを伝えることと変化していく関係を恐れないことに終始しています。最初から普通に可愛い杏璃ですが一歩踏み出した後はさらに可愛くなります。隠してきた好意を前面に出してきて困難にも2人で向き合い乗り越えていく姿はなかなか上手くかけていると思います。そんな彼女ですがその本質が一番出てくるのが姉である鷹倉杏鈴のシナリオだと思います。杏鈴の物語は逃げないことが軸になっていると思います。このルートで描かれる姉妹の絆の物語は本当に見事です。マジで傑作です。杏璃ルートでどれほど主人公のことを思っていたかを知っているからこそ伝わる葛藤と姉が幸せになってほしいという想い、そしてそこから決めた決断など杏鈴ルートにも関わらず杏璃にも出番が満載です。これは様々な可能性を描くことができるノベルゲームだからこそできたものだと思います。

そして何より杏鈴がめちゃくちゃ可愛い。とにかく可愛い。可愛すぎてちょっとシャレになっていない。マジでこれに尽きます。この作品の進行が進んでいないのが杏璃と杏鈴の悲しい顔が見たくないという理由なレベルでお気に入りのヒロインです。

この他にも音楽の良さはもちろんこと、OPやOP2がかかる瞬間、章ごとに挿入されるヒロイン達のモノローグは本当にいいです。杏鈴ルートの2つ目のモノローグは今作を立ち上げるたびに聞いてそのまま満足して終わらせるくらいには気に入っています。

…なんか他の感想より頭悪そうな感じになってる気がする。でも本当にお勧めです。まだ攻略中ですが選ばなかったヒロインの魅力や葛藤なんかにもちゃんと焦点が当たっています。プレイするなら選ばなかったヒロインの想いにも寄り添ってみたらまた違うものが見えるかもしれません。

 (もう杏鈴と杏璃だけで終わっていいですか?)

18.智代アフター~It's a Wonderful Life~

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岡崎朋也は、廃品回収屋に就職し、智代と幸せな日々を送っていた。ある日鷹文が、父親の隠し子である幼女"とも"を連れてきた。母親から育児放棄されていた彼女を育てることにした二人のもとに、鷹文の元カノである河南子まで転がり込んできた。

かくして、5人の男女による、にぎやかな日々が始まった。

智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜 - Wikipedia

key.visualarts.gr.jp

伝説にして賛否が大きく分かれる18作目。

人生の輝きを探しにいく物語。

CLANNADの外伝であり智代ルートのアフターストーリーにも関わらずあまりに奇抜過ぎるシナリオで大炎上した結果麻枝准が発狂しかかったある意味伝説の作品ですが、描かれたテーマやその結末は良い意味でも伝説になりうると思っています。

CLANNADでは人の絆を受け入れることで成長していく主人公の姿が描かれましたが、今作では坂上智代の隣を歩けるような人になるために成長しようと努力する姿が描かれています。そのためにそれまで他人のことなど歯牙にもかけてこなかった周りの人達のために必死になり、少しずつ成長していくのですが無理が祟り悲劇が起こってしまいます。そして彼と智代は重大な選択を迫られ立ち向かうという流れなのですが…

この作品のキモはこの結末です。この結末の救いのなさは確かにきつ過ぎます。というか智代アフターでやるな。炎上しても仕方ないシナリオです。ただ炎上する理由は智代ルートに繋がる話として今作を作ったことだけどありシナリオに関しては名作の部類だと思います。どんな困難にも立ち向かってたとえたった1人になったとしても歩いていけるのか?それを我々には非情な現実をぶつけることで問いかける作品となっています。何よりED後に流れるタイトル画面の曲名に込められたものに気付くことができたら…この作品は外伝ではなく1つの独立した作品として見ると楽しめると思います。

またED曲が名曲なのも有名で麻枝准史上最高傑作の一曲と本人が言うくらいには素晴らしいです。歌詞の内容は今作の内容そのものです。

さて色々書きましたがこの作品には2つのエピローグがあります。1つは炎上したもの、もう1つは炎上を受けて救いを入れたものです。…ただ私は後者が大嫌いです。あそこまで完璧なテーマを描き切ったにも関わらず中途半端な御都合主義の救いを入れたことは正直理解できないですし冒涜とさえ思えます。もちろんこれは個人の意見で分かれると思いますが私としてはオリジナルのエピローグを見て欲しいです。そこに彼らの人生の輝きはあるはずですから。

 (ぶっちゃけこの改変したって部分で殿の個人的な評価が大きく下がっている。)

19.アメイジング・グレイス-What color is your attribute?-

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記憶喪失の主人公・シュウは雪の降る中世の西洋を思わせるアンティークな町並みの町で目を覚ますが、町は12月25日に原因不明の大火災により崩壊する

アメイジング・グレイス -What color is your attribute?- - Wikipedia

cabbage-soft.com

昨年のマイベストエロゲである19作目。

ギミックとキャラクター達の哲学を上手く扱い切った昨年度屈指の超シナリオな物語です。

前作が散々な評価のせいで回避されまくるという悲劇に合った今作ですが、出来上がってきたものは本物の名作でした。ギミック性と世界観、そこに生きるキャラクター達の哲学などを上手く組み合わせ回収しなかった伏線もほとんどないというとんでもない作品です。

今作の最大の評価点は閉じた世界観を使った伏線の処理だと思います。街以外の世界は滅びたと信じられている世界を使った独自の価値観やそれを形成した理由など本当に細かく設定されている上に説得力が出るような構成になっています。そしてこの事実を知らさせれる瞬間の鳥肌はヤバイです。普通に思考停止します。そして思い返していくとその世界観だからこその会話や小道具、街の風景が大量に発覚していきます。これぞ伏線の張り方の見本とでも言えるような見事っぷりでマジですごいです。二週目をしてみると色々なことに気がつくことができるので是非既プレイの方ももう一度やることをお勧めします。

そして個人的な評価点は結末を受けれるかを問いかける選択肢です。この作品は所謂脱落方式により物語が分岐します。この中でヒロインと恋仲になってその結末を選ぶか、誰もが幸せになれるであろう未来を信じてその結末を否定するかという選択を迫られ、何度もループを繰り返すことになります。そしてその選択の重さと誰かの望んだ結末を知った時またもう一つの物語を知ることになります。このような分岐によって生まれる別の可能性の存在を描くからこそできる物語構成は個人的に大好物なので本当に大好きです。

今作に関しては本当にネタバレ厳禁です。たった一つのネタバレだけでこの作品の価値が一気に下落するといっても過言ではありません。ネタバレになる前に是非やってください。後悔はさせません。

 (FD出てほしいけど売上的に厳しいのかな…新品買ってくれ…)

20.D.C.ⅡDearest Marriage

 

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D.C.II本編のその後――恋人同士になった義之と音姫は周囲の誰もが羨むような甘々で幸せな日々を過ごしていた。
そして迎えた、義之の風見学園本校3年の3学期。
義之は風見学園を卒業すると同時にひとつの決断をしようと考えていた。

――それは音姫にプロポーズをするということ。

気のおけない仲間たちと過ごす、
バカみたいに楽しくてほんのり寂しい最後のドタバタ学園生活――第1章『Graduation days』

もっとも愛しい人との結婚、社会人としての新しく刺激的な毎日、
いちゃいちゃだだ甘でかなりエッチな新婚生活――第2章『Married life』

そして、その先に待っているのは――第3章『Dear to……』

三章構成で描かれる、D.C.IIシリーズの最新エピソードであり未来へと繋がる純愛の物語をどうぞお楽しみ下さい。

D.C.II Dearest Marriage ~ダ・カーポII~ ディアレストマリッジ [CIRCUS] | DLsite 美少女ゲーム - R18 

circus-co.jp

 ということで最後の20作目。

いやー最後にふさわしいさくひんですねー!

…知らない?まじで?嘘でしょ?別にネタじゃないよ?

いやまじでいいんだってこれ!

今作はD.C.Ⅱの数多くいるヒロインの中でもトップクラスの人気を持つヒロインである朝倉音姫と結ばれ家族になるまでを描いた作品となっています。FDであるためどうしても本編をやる必要があります。そして悪名高い曲芸商法のせいでその一端の作品だと思われているかも知れません。でも今作はマジでいいです。音姫と恋人の時間を過ごし、夫婦になって、両親になる、この流れが本当に丁寧に描かれています。その中で周りにいる友人や両親や妹との絆も同じくらい丁寧に描かれます。この辺は確かに過去作への思い入れがあるからこその部分かもしれません。それでも学園時代に馬鹿を続けていた友人達に祝福される流れは一度はこのシリーズに触れた人は読んでみることをお勧めします。

またこの作品の軸になっている家族の絆という部分も見事な出来です。音姫と主人公との娘は勿論、主人公とさくら、作中ではほとんど出てくることがなかった音姫とその父親の絆、それぞれの絆をしっかりと描くことができています。FDだからこそできることとは言えここまで1人のヒロインの人間関係に焦点を当てた作品は類を見ないではないと思える出来です。

この作品のラストシーン的にまだ続きがあると思うのですが…なかなか出ないんですよね…D.S.が上手くいったら早めにでも出ると思っていたのに迷走した上またD.C.に戻ってきて…それでも彼らの物語が描かれるその日をずっと待ち続けています。それまでにCIRCUS死なないで…

(てんぷれっとか意味わからんもの作っている暇があればさっさと作れよ…)

 

…やっと終わった。(製作期間3週間)

いや色々立て込んでた影響で遅くなったのですが…

(祖父が亡くなったり就職先が決まったり住む場所決めたり…激動だなおい…)

ただ私の好みの傾向を知ってもらういい機会かなーと少し思ったので書かせていただきました。

このような感想を書きましたがあくまで私の感想です。同意することができる方がいれば理解できない方もいると思います。それは残念ながら当たり前のことだと思いますしなければならないものだと思います。事実私自身悪意が前提の作品やグロを前面に出した作品、何より厨二系作品はかなり苦手で全然触れようとしません。なのでやったとしてもどうしても偏った感想になりやすく、否定的な意見を出しがちだと思います。ただそういう個人の好みを知ったうえでまた別の視点で物語を見ることができるのではないかとも思っています。

私が物語に重視するのは選んだことの重さと幸せをつかむためにどう足掻くか、そしてどのように関係性を進めていくかという部分です。この部分を見つめることでまた別の物語が見えるようになっていくと思っています。そんな別の視点を他の人と共有しつつ是非違った物語の見方を知りたい。そんな願いをもっていつも記事を書いています。

皆さんも好きな作品の感想を書いてみませんか? 

そうすることでよく似た感想を持つ人と出会えるかもしれません。もしかしたら全く違う作品への向き合い方を知ることができるかもしれません。

語りえぬことに対しては沈黙せざる得ない、ある哲学者の言葉ですがならば語りえないこととはどこなのか?それを探すために一歩踏み出してみませんか?