保坂新の戯言集

どこかの誰でもないアンポンタンがどこかの誰かである人が作った作品にうだうだ一丁前に評価を下すブログです 話半分に流していただければ幸いですTwitter:@chuhri0703

自分の好きな作品の好きなところをまとめてみる前編

どうもそろそろクリアから一か月が経ちそうなのにさくら、もゆ。の余韻が抜けなくて困っている保坂新です。

そこを乗り越えるためにも少し全力で好きな作品について全力で語ってみようと思います。

20本ほど。

Twitterの方では9本まで行きましたのでまあこのくらいは…

なお今回他人の意見も気にせず只々ひたすら書き殴ります。

不快に思われる方もいらっしゃるかもしれませんのでご注意を。

また少しネタバレが入る可能性がありますのでお気を付けください。

なお今回もあまり表沙汰にできない黒い発言はできるだけ透かしにしています

 1.さくら、もゆ。-as the Night's, Reincarnation-

 

f:id:chu-linozaregoto:20190211214350p:plain

かつて人知れず人類を救った魔法少女達の戦いからおよそ10年後に魔法を忘れた魔法少女たちの物語

さくら、もゆ。-as the Night's, Reincarnation- - Wikipedia

www.favo-soft.jp

はいということで1本目。(あらすじ短くね?)

今年プレイ完了した作品であり、エロゲのモチベーションを掻っ攫っていった張本人です。

今作は美しい背景とそれにぴったりな音楽、そしてそれらが根差した夜の国という部分がわかりやすい評価点になっているのではないでしょうか?銀河鉄道の夜をベースにした輪廻転生や何かを叶えるための願いと代償、この部分の設定は今作だけで使い終わってしまうのは本当にもったいないと思えるほどには面白かったです。

またこれらの世界観に根差したテーマの描き方も見事でした。今作では多くの自己犠牲が描かれます。しかしここには二つの種類があると考えています。一つは誰かの悲劇を肩代わりするために自分が不幸になる自己犠牲、もう一つは誰かを幸せにするために自らを犠牲にする自己犠牲、この二つです。この二つは一見同じものに見えますが前者は自己犠牲をする側が幸せになることはありません。何故ならそれは本当に彼らが願ったものではないからです。この部分に注目して読んでいくと彼らの印象も大きく変わってくるのではないでしょうか。

そして個人的な今作最大の評価点は構成の見事さだと思います。ノベルゲームにおいてオーラス構成というものが使われる傾向があります。この場合個別ルートは比較的雑に扱われたり明らかに手が抜かれているとわかるような内容になってしまっている場足があるのですが今作は違います。全ルートがしっかりと軸となるテーマを持ったうえで物語が進行し、一つの物語を完遂してくれています。特にハルルートに関してはクロルートの前振りに徹してしまう可能性が存在していたにも関わらずしっかりと柊ハルが幸せになるための物語が描き切ることができていたのではないでしょうか?そしてクロルート、このルートに関しては圧巻でした。ここまでに語られてきた物語が一本の線となり、多くの伏線や布石が一気に明かされていき、それぞれ一つの物語として完成されていた個別ルートを更に大きな一つの物語にまとめ上げることができていると思います。

テキストに癖があるので合わない人には合わない作品となっているかもしれませんが読み切って各キャラクターの想いに寄り添うことができるなら本当に楽しむことができると思います。是非

是非

(FDはよFDはよクロちゃんとイチャイチャさせろ役目だろふぁぼ)

2.CLANNAD

f:id:chu-linozaregoto:20181120135831p:plain

怪我でバスケットボールを断念し不良となっていた主人公の岡崎朋也は、ある日学園前の坂道で女子生徒の古河渚と出会う。渚は演劇部の復活を目指しており、朋也や朋也が教師幸村俊夫の働きかけで出会った友人の春原陽平、その他ヒロインらが演劇部の再建に協力していく経緯を軸に、各キャラクターのルートに分岐して物語が進められる(演劇部が関与しないルートもある)。

CLANNAD (ゲーム) - Wikipedia

key.visualarts.gr.jp

ということで2作目。

個人的な話をするとオタク趣味に傾倒する最大の要因となった作品です。

この作品はアニメも評価が高いのでそちらで済ませてますという人もいるのではないでしょうか?

ふざけんなゲームやれ

理由はいくつかあるのですが一番の理由はプレイすることでの長さを味わってほしいというのが大きいです。今作の学園編での攻略キャラは10名です。これは男衆も含めての数な上長さもまちまちなのですが結構しんどいです。そしてオーラスルートであるAfter Storyも長いためプレイ時間は膨大です。当時この手のゲームをプレイし慣れていなかった私は100時間近くかかったのを覚えています。そしてオチを知っている人ならご存知の通り古河渚を救うまでにかかる時間がこのプレイ時間になります。クッソ辛いです。しかしだからこそ小さなてのひらが流れる瞬間は格別です。本当に本当にゲーム版をやってください…早苗さんや秋夫さんの話もありますから…

そして今作を表す言葉に「CLANNADは人生」という言葉があります。正直に言うとこの言葉は一面性でしかなくこの作品の本質ではないなと思っています。よくこの作品の主人公は美化されることがありますがクズです。超クズです。というかドン引きレベルでヤバいクズです。そんな彼が様々な人と出会い、少しずつ仲を深めていき、最後に絆を受け入れるまでが今作の要となっています。本当に少しずつ少しずつ成長していき、「この街は好きですか?」という問いに対して心から肯定できるようになるまでを描いた作品だと思っています。是非そんな部分にも注目して見てほしいです。

今なら多くのデバイスでプレイできます。だからゲームを…

ゲームをやってください…

 (というか朋也のクズっぷりとか渚の孤独の描写が甘いんだよ、アニメは)

3.サクラノ詩-櫻の森の上で舞う-

f:id:chu-linozaregoto:20180906002028p:plain

春休み。主人公である草薙直哉の父にして、世界的な画家でもあった草薙健一郎の葬儀が終わった。直哉は「父と自分は関係がない」と言って、父が残した莫大な遺産の相続権を放棄してしまう。また、直哉の母は先に死去していたため、彼は天涯孤独の身となった。そのため、直哉にとって親戚であると同時に、直哉が通う弓張学園の教師でもある夏目藍は、自分と弟の夏目圭、妹の夏目雫が暮らす「夏目屋敷」で、直哉も一緒に暮らすことを提案。即答は避けた直哉だが、その後友人でもある圭が、母方の遺産として残され、直哉が一人暮らししていたマンションの床を水浸しにしてしまったため、結局夏目屋敷で暮らすことになった。 新学期が始まって3年生に進級した直哉のクラスには、編入生として御桜稟が入ってくる。彼女は約6年前に引っ越していった、直哉の幼なじみだった。

サクラノ詩 - Wikipedia

www.makura-soft.com

3作目、ここまで春でつながっていますが特に意味はありません。

ある意味で伝説になると思ったら本当の意味で伝説になった傑作。

音楽だったり哲学要素だったりいろんな要素が複雑に絡み合ってこその評価だと思いますがやはり一番評価しているのは個別ルートとオーラスルートの関係性だと思っています。

 オーラス構成を扱う場合、多くの問題をそのルートで解決させて大団円にするのがセオリーとなっています。しかし今作はオーラスルートが主人公にとって一番苦しい状況なのではないかと思わせる物語となっているのです。大切な幼馴染を失い、芸術への熱意も色褪せ、大切な友人たちは皆去ってしまい、いつ崩れていくかわからない不安定な生活ので生きる主人公の姿はどこか物悲しく映ります。これは個別ルートにおいて主人公がヒロインと結ばれることで幸せになる姿が描かれていることから特に強調されているのだと思います。今作の一つのテーマである「幸福の先の物語」はこれらの幸せだった学生時代の輝かしさとオーラスルートのもの悲しさの対比によって成り立っている部分があります。ここを描くのに本当に苦心された結果が度重なる延期だったのではないかと思うほどです。この部分に関してはまだ我々は答えを提示されていないので続編であるサクラノ刻を待ちましょう。

その他にも意味さえ見失わなければ名が残る必要はないという明石亘が残した名言や父への墓碑銘を完成させたシーン、幸福と不幸に関する語りなどなど胸に刺さる名言ばかりです。特に明石亘の名言に関しては私自身助けられ、周りから無意味だと言われ続けたことをやり通す原動力になりました。

クセの多い部分が作品ではありますが語られる物語は本当に見事です。是非一度手に取ってみてください。

(サクラノ刻まだかよ!今年出してサクラ対決するんだよ!早くしろ!) 

4Summer Pockets

f:id:chu-linozaregoto:20180906002035p:plain

夏休み、主人公の鷹原羽依里は亡き祖母の遺品整理のために訪れた鳥白島で、叔母の岬鏡子と二人で遺品を整理する傍ら、島で出会った新しい仲間との島の生活を楽しみ、夏休みが終わるのを惜しく思うようになっていく。

Summer Pockets - Wikipedia

key.visualarts.gr.jp

4作目、季節は巡って夏です。

key復活の狼煙ともいえる夏休みを体現した一作です。

今作の好きな部分はやはり夏休みの楽しさをこれでもかと詰め込むことに成功している部分ではないでしょうか?

背景、音楽は勿論のこと、取り巻くキャラクター達ややり取りのすべてが夏休みというテーマを表現しきるために総動員されています。

そして個別ルートの強さも夏休みの楽しさと切なさがたっぷりと詰まっています。個別ルートには大事な役割が存在します。それはうみに本当に楽しい夏休みを提示するということです。このために個別ルートではそれぞれのライターが思い描く夏休みの輝きを表現しきらなければならなかった。そしてそれを完璧にやり切った結果個別ルートがオーラスルートに引けを取らない出来になっています。夏に出会った友人たちと絆を深めつつ大きな困難に立ち向かうしろはルート、大切なものを取り返すために必死になる少女と関係を深めつつ彼女のために壁を乗り越えようとする蒼ルート、手に入らないと思っていた夏休みの輝きを大きな冒険で手に入れ未来に旅立つ鴎ルート、限られた時間を大切な人たちと全力で過ごす輝きを全力で描き切った紬ルート、どれも終わってみると輝いて見える夏休みだと言えるものとなっています。そしてだからこそ大切な母親にその輝きを伝えるためにうみは自らを犠牲にしてある選択をするという流れが本当に好きです。

今作はkey作品の過去作に似た展開が多く見られます。しかしそれは本質ではなくただのギミックにすぎません。夏休みの楽しさとそれを知った彼女の勇気を描いた作品を是非一度プレイしてみてください。

(展開が甘い。アニメ化はやるなら早くしなさいな。後FDはよ。)

5.AIR

 

 

シナリオは第一部「DREAM編」・第二部「SUMMER編」・第三部「AIR」の三部構成となっている。

第一部は現代が舞台であり、主人公であるさすらいの人形遣いの青年(国崎往人)が、海辺の田舎町で偶然出会った少女達と紡ぐひと夏の物語が描かれる。ゲームの進行は、プレイヤーが選択肢を選びながら男性主人公がヒロインを攻略するというもので、一般的な美少女ゲームと同様である。

第二部では、千年前の夏が描かれ、第一部での主人公とヒロインの間の運命的なつながりが暗示される。第二部以降は、通常の美少女ゲームでは存在する「選択肢による分岐」やポルノシーンがほとんど存在することなくストーリーが進む。

第三部では、現代に戻って第一部と同じ時間・場所が舞台となり同じ物語が反復されるが、プレイヤーの視点は国崎往人ではなくカラスの「そら」となっており、その視点から第一部での往人と観鈴の物語を傍観することになる。

ヒロインの観鈴に世界の存亡がかかっているという意味でしばしばセカイ系作品として言及され 、また広義にはループものに分類することもできる

AIR (ゲーム) - Wikipedia

key.visualarts.gr.jp

そして5作目、夏と言えばこの作品という人も多いのでは?

この作品に関しても言いたいことがあります。

アニメ見ずにゲームやれ

アニメのできがいいとすぐこれだから…いやアニメ上手くできているけどね?

今作もゲームでやってほしい理由はあります。

それは観鈴の物語に寄り添わなかった時の痛みに向き合ってほしいからです。まずアニメとの最大の差異でありノベルゲームなら当たり前であること、それは誰かを救うことで誰かは救うことができない、この部分です。正直この作品の核だと思っています。

アニメだといい感じに佳乃と美凪のシナリオもいい感じに統合されています。しかし2人のルートに突入すると観鈴とは一切関係性がなくなります。これによって観鈴は孤独となり晴子と和解することなく寂しく生涯を終えることになるでしょう。しかも佳乃ルートに関しては能力さえも失い完全に翼人関連は詰みです。これらのある意味でのBAD ENDを見たうえで観鈴の物語を見ることでまた印象が大きく変わってきます。この他にもEDのFarewell songの扱いやメインテーマである別れと旅立ちという部分は本当に見事に描かれているので是非ゲームをプレイしてください。そしてもう一つ、BAD ENDの一つである旅立ちEDも見てください。これももの悲しいEDなのですがまた別の別れと旅立ちが描かれています。なので是非…

(というか晴子劇場絶対許さねえからな…京アニ…)

6.いろとりどりのセカイシリーズ

f:id:chu-linozaregoto:20181203214839p:plain

鹿野上悠馬は魔法使いの真紅から“他者の傷を癒す”能力を与えられ、学生寮・嵐山荘(あらしやまそう)の地下室から異世界へと行き来しながら、依頼主を束縛や危機から自由にする「逃がし屋」の仕事をしている。灯台から飛び降りた所を助けた加奈、幼なじみの澪、嵐山荘の住人達、そして異世界の者達と過ごす日々の中で、悠馬は彼らの問題に向き合い、自分の大切な“約束の場所”や失われたものを探していく。

いろとりどりのセカイ - Wikipedia

www.favo-soft.jp

6作目、夏が続いてる?安心しろまだまだ続く

今作はFDであるいろとりどりのヒカリも合わせての評価になるのでご留意を。

とりあえず一言。

真紅可愛い

いやこの作品はまじでこれに尽きる。真紅のための物語になっている。正直真紅以外を好きになるのは結構難しいくらいには真紅に特化している。真紅かわいいはアレセイアという標語が生まれるくらいには真紅が可愛い。

内容?

真紅いじめを徹底的に行うシナリオです

まずはいろセカ、こちらは前半は普通の雰囲気ゲーです。設定や背景に根差した不思議な世界観を活かしたシナリオになっているのですがまあ普通のシナリオ。蓮ちゃん可愛いとか色々ありますがまあ正直特筆するほどもないそこそこのシナリオとなっています。そして全ルートで真紅とは別れる運命になっています。…この段階で真紅さんはいい感じに好感度を上げまくってくるので悲しそうに消えていく姿はかなりくるものがあります。

そしてこれらを終えたらやっと真紅ルートになりますがとんでもない事実を突きつけられます。そしてまた真紅を泣かせます。その後色々あってしっかりと結ばれ、ハッピーエンド!このまま幸せに…ならない

FDであるいろヒカにて主人公の犯した罪の清算に真紅も巻き込まれます。この辺くらいからマジで辛くなってきます。しかもあるキャラクターが諦めるか諦めないかと煽ってきます。マジで殺意が湧いてきますが、そもそも原因は主人公にあるので何も言い返せません。そんな状況を救ってくれたのが周りにいる友人達であり、ある少女でした。たくさんの困難を乗り越えた先の2人の未来は本当に輝いて見えます。

今作の魅力は世界観以外にもその個性豊かなキャラクターにもあります。タイトル通りいろとりどりの個性と心の傷を持つキャラクター達が織りなす物語とその人生に裏付けされた哲学はどれも心を打つものばかりです。そんな彼らが作り出す物語を読んでみませんか?心はフルボッコになりますけど。

 (個別の雑さを除くのなら間違いなく名作、ただ二階堂真紅の物語として見たうえで)

7.星織ユメミライ

 

f:id:chu-linozaregoto:20181120125257p:plain

建築士を目指している主人公・日野涼介は、7年ぶりに故郷である汐凪市に戻ってくる。涼介は汐凪第一学園に転入し、幼なじみとの再会や新たな少女との出会いを経験する。後に涼介は行事運営委員会に入り、6人のヒロイン達——逢坂そら・篠崎真里花・瀬川夏希・沖原美砂・鳴沢律佳・雪村透子——と交流していく。やがて涼介は一人のヒロインと親密になっていく

toneworks.product.co.jp

ということで7作目、こちらも夏です。

この作品は私のノベルゲーム復帰の一番のきっかけになった作品です。

この作品は前述どころか後述の作品も含めてダントツで話がぬるいです。シナリオ展開は山なし谷なしで起伏も緩急もない、よくあるキャラゲーです。ある一点を除けば。

それは描く期間がものすごく長期間であるということです。どのくらい長いかというと結婚どころか子供ができるまでを描くヒロインさえいるほどです。この作品の最大の強みは長期間にわたるヒロインとの関係の形成とその深め方だと思います。出会いから恋人になり、関係を深めていき家族になるまでの長い長い物語、この物語を描き切るために一般的なヒロインルートと比較すると膨大な時間を一人のヒロインに賭けることになり、そのヒロインへの思い入れも強くなります。この思い入れはあまりに強くなり過ぎた場合次のルートに進むことさえできなくなるほどです。私は一人のヒロインに入れ込み過ぎて2か月ほどそのヒロインのルートを繰り返していました。

さてそんな今作なのですが、この他にも他のヒロインに行くことを阻むものがあります。それは選ばれなかったヒロイン達の感情を見つめやすいという構造です。個別ルートでは本心を全力でぶつけてきます。関係を形成したから語れる想いもそれまで抱き続けていた夢も何もかも。そしてそれらが叶うのは彼女達の物語に寄り添ったときだけなのです。例えば幼い頃から主人公に想いを寄せているヒロインがいます。このヒロインの想いを知ることができるのはその個別ルートだけであり、その主人公のそばにいるためにしてきた努力も何もかもを知ることができるのも個別ルートだけです。この事実を知ったうえで他のルートを進めていくと彼女はどんな時も主人公の背中を押してくれます、自分の願いを押し殺した上で。このような構造を見つめながら今作をプレイしてみるとまた別の物語が生まれると思うので是非やって見てください。

(FDよこせやオラ!)

8.素晴らしき日々~不連続存在~

f:id:chu-linozaregoto:20190305073405p:plain

6つの物語によって奏でられる旋律――“言葉と旋律” の物語。

素晴らしき日々 〜不連続存在〜 - Wikipedia

www.keroq.co.jp

 夏が続くぞ8作目。

サクラノ詩の対の存在ともいえる今作、グロありイジメありで結構しんどい描写が多いですが間違いなく名作です。

本当に序盤はいろんな意味で苦痛なんですよね…電波カルテットによる謎百合展開だの電波野郎の行動観察だのリアルすぎるイジメ描写だの…極めつけの壮絶なイジメの末に発狂して命を絶った彼女の末路は正直見ていられません。ただそこを抜けた先の物語は本当に素晴らしい出来となっています。今作の評価点の一つに伏線の回収がありますがこの点は本当に見事です。意味の分からない描写には大体意味があり、別の誰かの目線で見るとその意味が理解できるような構成となっています。

そして一番評価している点は哲学要素、特に「幸福に生きよ!」という言葉の意味を突き詰めたシナリオだと思っています。人の生とはいつか終わるものである。ならばその生は無意味なのか?生きるということは呪いのようなものなのか?今作ではそんなテーマを我々に問いかけてきます。これらの答えは様々だと思いますが私自身この作品で語られた哲学に関しては本当に何度も助けられてきました。今は苦しく人生は呪いのように感じるかもしれない、それでも幸福を願い生きなければ幸福にたどり着くことはない。終わることを恐れるのではなくその先に幸せが待っていると信じて生きることの重要さをこの作品は教えてくれました。

電波ゲーと呼ばれるだけあって読み手は非常に選びます。しかしこの作品で提示されるテーマはいろんな人に響くものがあると思います。無理にとは言いませんが興味があるのなら通してやって見るのをお勧めします。ぶっちゃけ体験版をやっても意味がないのでご注意を。

 (でもHD版の由岐姉アフターはご都合主義だなーとは思ったのであまり好きではない)

9.金色ラブリッチェ

f:id:chu-linozaregoto:20180906002929p:plain

未来の紳士淑女を作る場所である、私立ノーブル学園。教養だけでなく品格を学ぶための全寮制の学園である。学園では今年は王族が来たとのことで例年にない緊張感を帯びていた。主人公・市松央路は、思いがけないことからお姫様に気に入られ、学園に叩き込まれた。しかし空き部屋の関係で女子寮の端に押し込まれてしまった

金色ラブリッチェ - Wikipedia

sagaplanets.product.co.jp

季節は秋に移ろい9作目。

ご都合主義から始まる三人の幼馴染とそれを取り巻く友人たちの金色を語る物語です。

 以前後輩に貸したらご都合主義で始まりすぎているという指摘を受けましたが、物語はご都合主義であれそれが起こったからこそスポットライトを浴びるチャンスを得たと考えているのであんまり納得していなかったりします。それにしてもご都合主義が多すぎると思いますが…

今作の最大の特徴はテーマ性に重きをおいたキャラゲーという点だと考えています。キャラゲーであるため各ヒロインの魅力を上手く書くことができており、その結果げっちゅ屋美少女ゲーム大賞2017にて多くのヒロインが上位にランクインするという結果を得ることができています。そしてその魅力的なヒロイン達それぞれが持つ「カッコよさ」の意味をテーマとした作品作りがしっかりとできているのが大きなポイントだと思います。

特にこの側面が色濃く出ているのがシルヴィと理亜、この二人のルートになると思います。まずはシルヴィルート、このルートは一見普通のキャラゲー的なシルヴィの魅力の描写に特化したルートに見えるのですが、Golden Timeルートを終えてからもう一度プレイしてみると大きく印象が変化します。それは僧間理亜があの時言った言葉の意味とその真意が露になり、シルヴィと主人公の2人の物語から理亜を含めた3人の物語に変化していきます。そしてオーラスルートであり、理亜の物語であるGolden Timeルートでは彼女の生き様が描かれることになります。幕を下ろすことよりもその幕が下りるまでにどのように進むのかに焦点を当てた物語は見事なものとなっています。

This time is This moment is Our Golden time.

この作品はこの言葉の意味を知るまでの物語となっていると思います。

また音楽や演出も良く、勝負の1シーンに使われるSylvia's ThemeやfortuneといったBGMや印象に残るような演出など記憶に焼き付けるようなシーンが多いのも特徴だと思います。

どのように終えるかではなくどのように最後の瞬間まで過ごすのか、この部分の注目してぜひプレイしてみてください

(ただFDは蛇足だと思う。やりたいことは理解できるけどそれはすべきじゃなかった。)

さてここまではTwitterでも語らせていただいた作品群ですが、ここからは追加分となります。クセの強すぎる作品や有名どころ、それ紹介するか?と思われるような作品も混ざっていますが後11作品お付き合いを。

 

10.CARNIVAL 

f:id:chu-linozaregoto:20180918232745p:plain

先輩であるエイミとミサワからいじめをうけている主人公マナブは昔から嫌な事があるとその記憶を無くしてしまう癖があった。いつものようにミサワに呼び出され屋上へ行くと、マナブへのいじめについて抗議する幼馴染のリサの姿があった。逆上したミサワがリサに掴みかかった瞬間からマナブの記憶は途切れてしまう。
次に覚えているのは、首を切られ血の海に横たわっているミサワと、 着衣を乱し気を失っているリサの姿だった。記憶が途切れ、曖昧な供述しかできなかったマナブは事件の容疑者として逮捕される。

しかし、護送中のパトカーが事故を起こし、マナブはその隙に逃亡する。勢いで逃げたもののいつかは捕まってしまうだろう。
「ならばせめて、捕まってしまう前にリサにハンカチを返そう」
中学の時、いじめられて怪我をしたマナブに差し出されたハンカチ。返そうと思いながら、今でもお守りとして持っている。そう決意したマナブが、公園で身を潜めていると目の前にリサの姿が。行くところが無ければ自分の家に来ないかと提案するリサ。マナブはリサと一緒に彼女の家に向かった。

自分がこんな状況になってしまったのは全て自分に対するいじめが原因だと結論付けたマナブはこの事件をきっかけに今までの弱い自分を捨て、行動力のある人間になろうと決意する。
その第一歩としてエイミにいじめの復讐をしようとする。偶然、リサの身体に暴行された痕があるのに気付いたマナブ。彼はその犯人がエイミではないかと考え、復讐と合わせて町へエイミを探しに行くのだった。

Getchu.com:18禁商品

dlsoft.dmm.co.jp

 

ということで早速ドきつめの10作目、知る人ぞ知る名作で瀬戸口廉也のデビュー作。

パケ版はプレミアがついており簡単には手を出しにくいのですが、DL販売は結構安くセールも頻繁に対象となっているのでプレイ自体は容易にできる一作です。

この作品も多くを語るとネタバレになるんですよね…ただこの作品は3部構成になっており、同じ物語を3人の目線で語られます。同じ時間、同じ出来事にも関わらず語られることの差異が大きく、少しずつ物語の全貌とその原因が明かされていく構成は見事でした。

そしてこの作品、主人公を含めまともな人間がほとんど存在していません。基本どこか狂っています。ただそんな彼らだからこそ描くことができた物語であり、1つの「幸福に生きよ!」の形だと思っています。

この作品には後日談であるノベル版が存在していることでも有名であり、その内容は少し救いがないように見えます。しかしこのノベル版を読まないと物語は完結しませんので絶対に読んでください…と言いたいのですがこちらもパケ版に負けず劣らずプレミアがついています。ただこちらに関しては国会図書館に蔵書があるのでそこで読むことは可能です。ボロボロでびっくりすると思いますが是非読んでみてください。

最後にこの作品の結末は多くの人が悲劇だというと思います。しかし私にはどうしてもそう言い切ることができません。最後に彼が選んだ選択も彼女があの時選んだ選択もやはり幸せに続くと信じて歩いた道です。そこに本当に求めていたものが手に入らなかったとしてもやはりそれを追い求めた日々は彼らにとってかけがえのないものだったのではないでしょうか?私としては彼女の行く末が幸せであることを願わずにはいられません。

(ノベル版の遺書の文とあとがきは名文だと思っていたりする。)

 

…え長くね?

ちょっとシャレにならない長さになったので前編後編に分けます。

後半もできるだけすぐに上げます。

前回のKanon問題の二の前は嫌だ…

では次の10作品まで…

to be continued...