【ラフノート】ソレヨリノ前奏詩
前回久々な記事なのにそこそこな人数の方が読んでくださりありがとうございます。
というかうみこ先生にいいねされてビックリしたわ!こうやって何かのアクションが返されると少し嬉しいですね…
ということで次はアクションがすぐにでも帰ってきそうなタマユラミライ…は置いておくとして(多分そのうち書くよ!)
今年解散を発表したminoriの作品であるソレヨリノ前奏詩の記事を書かせていただきます。
0.初めに
今年の3月エロゲ業界に激震が走りました。
エロゲメーカーminoriのソフト制作終了と制作チームの解散、この一報は1月に「その日の獣には」を発売し、好調な売り上げを残していたことが確認されていたため多くの人が驚かれたことでしょう。
私自身かなり驚きました。祖父の葬式中に知ってかなり動揺したくらいには。
そんな中でminoriを惜しむ声も多かったのですがその中で振り返られる作品は多くがefだったりすぴぱらでした。efに関しては11年前、すぴぱらに関しても7年前の作品です。
その後も多くの作品を出し続けていたのに名前が挙がらなかった作品たち、その作品たちは名前に挙げられる価値がなかったのでしょうか?それとも本当はただプレイされていないだけで知っている作品を挙げているだけなのでしょうか?
発表当時このことに関して結構考えました。お経を聞きながら
そして今回あるフォロワーのツイートを見てプレイを決意したのが今回のソレヨリノ前奏詩です。今作は某批評空間でも中々の評価を残しており、中古価格も一つ頭が抜けていたりします。またGWに行われたCharacter1でのミニライブではEDであるProlougeが投票で選ばれています。そんな今作を今回は覚書といて私の言葉で感想を綴っていこうと思います。
1.世界観
今作のあらすじは次のようになっています。
主人公・宮坂終は、物心ついた頃から、人の感情が読めてしまい、満員電車といった人混みでは大勢の感情が流れ込み、それは苦痛でしかなかった。そんなある日、終は同じ車両に乗っている一人の少女を見つける。
先祖から受け継がれた異能力であるエンパシーによって相手の心を否応なく読み取ってします主人公ととある理由で心の壁を作り上げた姫野永遠の二人が出会うことから物語は始まります。
今作の大きな軸になってくるのがこのエンパシーと心の壁という設定、これがどのようなことを暗示しているのかを捉えるのが重要な気がします。
minoriといえば演出ですが今作でもその手腕を存分に奮っています。アニメーションに近い立ち絵の動きや背景と一体化した立ち絵、背景の美しさなどなど流石のminoriクオリティといったところでしょうか。相変わらず滅茶苦茶上手いです。
また音楽に関しても天門さんによる音楽がさえわたり、かなりのクオリティとなっています。豪華版にはサントラが付属しているので買うのなら是非豪華版にしましょう。
今回のヒロイン達、メインの永遠、幼馴染の真響、奇想天外な後輩のはるかの3人に主人公を含めた4人の関係性は中々面白いと思います。またそれを取り囲む見た目チンピラな蒼太、真面目な委員長()マキ、頭のネジが何本も抜けてる静、立ち絵持ちは大体ヤバい連中です。そんな中で描かれる関係性を軸に描かれた物語が今作だと思います。
さてここからネタバレを含みます
2.共通ルート
便宜上共通ルートとしましたが序章ですね。今作の物語の始まりです。主人公と永遠の出会いと別れまでが描かれます。(やってないけど体験版パートかな?)
結構驚いたのは永遠と早い段階で付き合い始めたことでしょうか?共通ルートの時点で特定のヒロインとくっつくのは結構珍しいと思います。その過程も必然性があって結構好きでしたね…そんな2人が共に過ごす中で永遠の心の壁が崩れそうになっていき、エンパシーが効くようになってしまいます。そのせいで主人公がいつも行ってしまっていた罪と過去に犯した大罪が明示され、その被害者から大きな傷を与えられるというのが大きな流れです。
ただこの中で永遠は本当に憎しみで行ったのか、これに関してはかなり疑問があります。もちろん憎しみもあったと思います。ただそれよりも心を読まれ、嫌われることの方が恐れているように見えたんですよね…何より心の壁が崩れそうになった瞬間に大きな行動を見せていましたし、その後の展開的にも嫌われることを恐れて逃げたように思えます。結局2人は心の壁を越えることができなかった、これが共通ルートの顛末に至った理由ではないでしょうか?
3.佐倉井真響
すしざんまい!
さてそんな辛い別れを経験して2年が経ち、また夏がやってきます。その中で永遠と同じクラスになり、もう一度友人に戻ることを提案されてまた物語が転がりだします。
それまでの2年間で永遠との恋愛を軸にした小説を書いて大当たりしていたりと色々ありますがとりあえずは割愛。ここから物語は分岐していきます。
まずは真響から、彼女は主人公の幼馴染であり、誰とでも仲良くなれる明るい少女です。そんな彼女なので壁を乗り越えるのは主人公となります。この辺りの主人公が前に進むための描写は中々上手かったと思います。その描写のために永遠を上手く使えてたとも思います。このルートを見る限りやっぱり永遠は主人公のことを憎み切れていなかったことがよくわかりますね…特にラストの心の壁を乗り越えてでも主人公を引き留めようとする姿は名演技と合わさって良かったです。
このルートで大切なのは主人公が悪意ではなく善意を信じられるようになること、そしてそれによって人との絆を結ぶこの大切さを知ること、ここに尽きるのではないでしょうか?これができなかった永遠は主人公に置いていかれてしまいます。
4.都築はるか
お次は後輩ヒロインはるかです。彼女は永遠と別れた2年間で出会った少女で心の壁とは違う方法で本心が見えない少女です。それは大ウソつきであること、そんな彼女の本心と向き合うのがこのルートのポイントとなります。
とある理由で主人公に近づいた彼女は主人公と仮初の恋人となり、関係性を深めていきます。その目的が達成されたその瞬間、彼女の本心を見透かされ主人公の目の前から姿を消します。そんな彼女をもう一度捕まえるために友人たちに助けられながら1つの小説を完成させ、嘘に埋もれた本心を引きずり出し、彼女と本当の恋人になる、これがこのルートの流れになります。
このルートでもやはり主人公の成長が大きな軸になりますが、真響の時と違いはるかを救うために成長します。永遠とは別の方法ではあるものの同じように心に壁を作っていた彼女を助けるために死に物狂いで小説を完成させる流れはありきたりながらもいい説得力になったのではないでしょうか?そんなふうに成長した主人公に対してルート冒頭ですげなく扱った永遠がまた置いていかれ、遠い存在になった主人公に会いに来るシーンは中々良かったです。あれを呼んだのははるかなんじゃないかな…と思いますが、あの時点でもう永遠は目に入ってなかったんですよね。関係性の変化の対比として上手くできていると思います。
このルートでは誰かのそばに居るために死に物狂いになる強さが大事になっています。そしてこれらを持って彼女との物語が始まります。
5.姫野永遠
2人のルートが終わるととある描写からループのようなことが起こっていることが示唆されます。ただループというよりも真響やはるかとの未来を選ばず、それでも永遠といたいと思う主人公の心が過去に戻っているという抽象的な印象でいいと思います。
ここまでの2人の物語の中で「人の善意を信じ、そばに寄り添うこと」と「大切な人のために諦めないこと」を学んできた主人公は積極的に永遠にアタックしていきます。それに根負けした彼女は主人公に結婚を申し込みます。
結婚…
結婚…
結婚!?
いやー普通にビビりましたね…Rewriteや星メモでもルート中に社会人じゃないのに結婚することはありましたけど(それでもFDですし)まさか学生結婚とは…しかも話はポンポンと進むし。
ここからイチャイチャが始まります。このゲームは某紅い瞳の先生同様永遠を好きになれるかで評価が決まると聞いてましたがここまでとは...というか両親それでいいのか?まじでいいのか?心から思いましたね、はい。
ただこの間に夢の中で別人であると称する永遠と出会います。描写的にも心の壁の中にある永遠の本心と見ていいと思います。そんな彼女を救い出すまでかこのルートの流れになります。
このルートでは前述の2人だけでなく他の友人達との関係性も大きな要素になってきます。過去の主人公のように「人との絆を信じず」、そしてはるかのように「本心を心の壁で閉ざしていた」永遠を友人達の元まで引きずり出すまでがこのルートです。ちゃんと心の壁を乗り越え、人を信じられるようになった2人からエンパシーも心の壁もなくなりますが、それでも幸せそうな2人が新婚旅行に行くまでで今作は幕を閉じます。
ソレヨリノ前奏詩というタイトルを主人公の新作につけて。
6.終わりに
ef以降有名ではあるけど何やってるかわからない状態で、某代表の評判ばかりが独り歩きし、閉じたコミュニティになりがちだったminoriでしたがやはりいい作品を作っていました。
個人的にはかなり好きな部類ですね。個別では主人公の幸せな未来をしっかり暗示し、オーラスでちゃんとメインヒロインを含むみんなが幸せになれる物語を作る、このような作品はもっと増えてほしいです。
現在解散の影響も合わさってなのか少し高騰気味なので気になる方はお早めに。
OPもEDも素晴らしいですよ!