保坂新の戯言集

どこかの誰でもないアンポンタンがどこかの誰かである人が作った作品にうだうだ一丁前に評価を下すブログです 話半分に流していただければ幸いですTwitter:@chuhri0703

【ラフノート】アインシュタインより愛を込めて

 毎回ここは最初に書いてるんですよね…

ただ今回は最後に書いてます。なんていうかここに力入れる前に記事に力入れた方がいいかなって思ったので後回しにしました。

もっともあんまり長い記事でもありません。言葉にしたら濁ってしまって伝わらないものもたくさんあります。ただ言えることは自分にとって本当に大切で愛おしくてこの作品を最後にエロゲを辞めてもいいと一瞬でも頭をよぎったたった2つの作品の片割れです。

だからできたら読んでほしいと思います。こんな感想文でもそれだけで価値が生まれますから。

ではお付き合いを。

1.初めに

多分グダグダと書けるのだと思います。

でもそれは冗長で今回ばかりはいらないかなと思い簡潔に書きます。

4年前に新島夕の名前を知り、2年半前に彼のシナリオに惹かれ、そしてその半年後に恋×シンアイ彼女という作品にとらわれ続けました。

だからこそその年末のインタビューは今でも忘れていません。今日までこの作品を待ち遠しく思い、情報を手に入れるために様々なイベントを駆け抜けました。

1年前大好きな曲の新世界のαと共にPVが流れた瞬間、列に並んでいるにもかかわらず崩れ落ちかけました。その後何回でも見たくて1時間ほどVAブースの液晶前にいました。

この作品の情報が記載されると知ったらすぐに雑誌を買いに行き、HPの更新を心から待ったものです。本当に本当に楽しみにしていました。

だから今回のラフノートはいつもの感想でさえありません。本物の戯言です。信者のひいき目が最も強く出ている記事になります。どうかそれだけは念頭に置いてお読みください。ただひたすらアインシュタインより愛を込めてを全力で追いかけた馬鹿の一方的な愛を込めて語らせていただきます。

2.世界観

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今作の売りは新島夕のシナリオときみしま青の原画だけと思われがちですが、志水マサトシによる背景と水月陵の音楽も最重要なファクターです。

背景原画は恋カケの時もすさまじい出来でしたが今回も相変わらずです。部屋の背景もいいのですが一番好きなのは公園の背景ですね。マジできれいです。

音楽に関しても流石水月陵と言うしかないものばかりで好きな曲を挙げ始めたら止まらないのですが、一番好きなのは「You are mystery」ですね。これボーカル曲にしないですか?メロディが大好きです。

そんな中で紡がれるのは捻くれた主人公とくそったれな世界と優しい隣人たちとの物語です。

3.プロローグ

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体験版までのパート、科学特捜部を設立するまでの物語です。ここでは徹底的に主人公のくずっぷりが描かれます。最もくずというよりも人とどう接すればいいかわからない少年を描かれているといった方がいい気はしますが。

人との付き合い方はわからない、でもそれを求めようとしない彼は命の危機に瀕して1人の少女に助けを乞います。そこで下された指示が4人の部員を集めて科学特捜部を創部するでした。でも人の心がわからない、どころかそれを理解しようともしない彼にはそんなことはできるはずもなく、空振りに終わります。この過程は彼の根底にあるダメな部分がよく出ていてかなり好きです。

そんな彼のもとに集まってくる癖はあってもどこまでも優しい少女達との会話劇は本当に楽しかったです。特にルートさえ用意されていない片桐猛は本当にいいキャラをしていました。彼女がいなければこの作品は成り立たなかったでしょうね、西野佳純と共に日常の象徴として物語を展開し続けていました。

そんな日常を優しく見つめる新田忍の視線も好きでした。というか思いっきりセクハラされたのによく付き合ってくれましたよねこの人。この人がいなかったら物語は終わってました。

普通っこの坂下唯々菜もあまりの特徴のなさでむしろ浮くという感じでしたが…まあ彼女に関してはルートで詳しくいきましょう。

そして真打有村ロミちゃんですよ。マジ可愛い。可愛い。最高。出てくるだけでテンションが上がる。...といったくらいには好きなヒロインです。知ってる?HAHA!

閑話休題

体験版パートを通して一番好きなのはやっぱり彼女とのやり取りです。というかこれに関しては作品全体に言えることではありますが。初めての出会いも、公園での邂逅もどれも大好きです。不思議な雰囲気を醸し出してつつも表情に出やすい姿も何もかも愛らしく大好きです。

そしてここからそれぞれの少女たちの物語が始まっていくことになります。

ここからは自重しません。やってないやつは帰れ。

4.西野佳純

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この作品において最も日常を描いたルートです。そして描かれた結末はその日常の喪失でした。部活は所謂青春の象徴のように描かれるものです。そこで好きになっていく過程もひねくれた主人公らしくて好きでした。だからこそそれを失う選択をした後の日々は苦しかったですね。佳純と猛と過ごす日常は眩しいくらいに輝いていて、だからこそこれが失われるのだとはっきりと突きつけられるのは辛くて、そして一層眩しいものに見えました。結局約束は果たされず、記憶も何もかもを失った彼と彼女の邂逅は苦しかったです。でもそんな彼の背中を押すのはロミちゃんでした。この子はこの後もそうなのですが彼のために何でもできてしまう少女です。そんな彼女の心がほんの少し見え隠れするこのシーンは悲しかったです。

そして結末は…どうなるんでしょうね。でも確かに言えることはどうなっても2人は幸せなのではないでしょうか?以前幸せに見えなくてもその先が幸せにつながっていると思える物語を読みたいとある場所で書き込みました。そしてこの物語はまさしくそれでだからこそこのルートが好きです。一つの愛の形だと思います。

5.新田忍

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このルートを読んで真っ先に思い浮かんだのは恋×シンアイ彼女でした。子供な少年と子供な少女、そんな2人が大人の真似事をして夢をかなえようと必死になる物語です。

物語の表裏が見え始める後半の展開と2人への受難は大人になるための受難だったのかもしれません。主人公を愛して一緒に夢を叶えて大人に、そして親になっていこうと決めた忍と愛する少女と子供のために自由と幸せな生活を投げ捨てて周太の展開は唐突感があれど不思議なことに何かのためにやり通した星奏とそれでも手を伸ばした洸太郎の姿をほんの少しだけ垣間見た気がします。ならばすべてを終えて役割を終えた周太と忍がこの先に歩んでいくであろう未来はあの二人のものと同じなのかもしれない。そんなふうに思います。

そして新島夕の描く佐元二厘のヒロインで初めて明確な幸せを得たヒロインでもありました。歩も綾も聖もあと少しのところで零れ落ちていってしまったものを手放さなかった彼女です。だからその先を読みたい。大人になった二人が対の片方になる物語が読みたい。

6.坂下唯々菜

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ということでこの子からルート入ったみんな?マジでお疲れさまでした…

まさかの核心の最中心にいた少女でした。いや少しは予想してたけどここまで共通からかけ離れるならロックかけとけよ…まじで。いつもは攻略順で記事を書いてますが今回は推奨攻略順です。私も唯々菜ルートから入りましたよええ。

普通な女の子、発想も趣味も何もかも普通な女の子、エロゲヒロインとしては失格レベルの無個性っぷりです。…思い出してもラーメン食ってる姿しか思い出せねえ。

でもそれは普通ではない彼女が夢見たひと時でした。ここからこの作品の裏側が思いっきり出てきます。最初にこのルートをやった人は私も含め置いてかれたと思います。でも最も重要なルートですよね。

このルートに関しては周太の物語ではないなというのが第一印象です。佳純と忍は周太が人を愛する物語になっているのですが、このルートは唯々菜が誰かを愛してそのために殻を破る物語です。その結末は語られるべきか語られないべきか…正直判断なんて尽きません。ただこの物語をただの尻切れトンボのようにとらえるのは違うと思います。もしこの言葉に異を唱えるなら今すべてを読み終えたあなたがもう一度このルートを読み解いてみてください。そこにはまた別の彼女がいます。

普通に憧れて、でもその憧れを本当に大切に想えるもののために捨て去った純愛の物語でした。

7.有村ロミ

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真打です。可愛い。(以下自重)

この子の話をどれだけ読みたいと思い続けたか、キービジュアルに心を奪われてから本当に好きで好きで堪らないヒロインでした。このルートはメインヒロインというだけあって様々な事実が明かされていきます。

ロミの名前が変わった理由、周太の彗星病、Σという存在、謎は解けていきますが1番印象に残っていて好きだと思えたのは周太とロミの只々普通の日常のやり取りでした。

幼馴染だけあってやり取りも警戒でお互い口にはしないけど相手のことを大切に思っていることが節々に感じられる言葉の使い方と向き合い方が本当に好きで見てていいなと思えるものばかりでした。周太の大言に呆れるロミの姿も、どこか抜けたところを晒すロミに呆れながらもツッコむ周太の姿も互いのことを心から信頼しているのだと思えるものでした。何より口にしないけれど他のヒロイン達への態度を考えれば周太は最初から最後まで彼女のことを大切に想っていたことなんて簡単に分かります。

だからこそ最後に自分の命を燃やしてもロミを救おうと思えたのでしょう。他人の気持ちなんてわからないと口にしていた彼の成長が見えるシーンです。でも悲しかった。絶対にこのシーンはあるとわかっていたけれど彼女の涙は辛いものがありました。

8.過去編

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過去編ということで全ての始まりの物語です。ここではロミとどのように出会い、今の周太が生まれてしまったかが描かれます。

ロリロミちゃん可愛い。

このルートで1番に感じて欲しいことは周太の態度です。この頃の周太は本当に真っ直ぐですね。そんな彼だったからこそ彼女の心を開くことができたのだと思います。真っ直ぐにぶつかってくるからこそ親友になり、一緒に困難に立ち向かおうとする。この2人はこのまま何もなく一緒に歩いて行くことができたのならどうなっていたのでしょうね。そんなことさえ頭に浮かんでしまうほど彼らのやり取りは生き生きしていて見てて飽きなかったです。

そして周太に何があったんかが語られます。そりゃ歪むわ。こんなくそったれな悪意に囲まれた環境に居たら人の気持ちなんて知りたいと思えなくなるでしょう。そんな中でも大切なものを守ろうとする姿は個別ルートで一緒に過ごすヒロインのために嫌々ながらも必死になる姿を想起させるものでした。

小笠原諸島までの旅の時間に関してはもしかしたら作中で一番好きな時間かもしれません。だからこそ語りません。これはその瞬間に2人が重ねる時間と言葉と表情があるからこそのもので、その雰囲気を言葉にしようとすると大切なものが抜け落ちていきそうなので。でも本当にこの流れが大好きで、2人の人生の中で事故と鯨との邂逅がなかったとしても間違いなくかけがえのない時間で物語が始まった時点で周太にとって最も幸せな時間だったんじゃないかと思うほどです。それだけの熱量と丁寧なテキストで物語が紡がれていました。

9.GRAND

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結びの物語です。すべての事実が語られていきます。

彗星の意味、鯨、彗星機構、Σ、ロミの覚悟、アインシュタインから何もかもです。でも一番大事なのは世界の真理と隣人との愛すべき日々のどちらを選ぶかという問答でしょう。

もし真理に手を伸ばせるのならば世界を滅ぼせるのか、少なくとも物語が始まったばかりの頃の周太を見ただけだったら選ぶと思ってしまったと思います。でも物語を重ねて周太の過去を知り、何があったかを知り、そして誰かのために必死になる姿を見たときに手を伸ばさないに決まっていると思え、だからこそもう一人の周太の言葉は嘘だって簡単に気づくことができました。もし彼の言葉を真に受けていた人がいたら鼻で笑わせていただきます。彼を見くびるな。

そんな彼だからこそ屋上での旅立ちのシーンは胸にきましたね。佳純、忍、猛の三人だけじゃなくて他のモブもやってきて帰って来いというシーンはちゃんとそこに彼の居場所があったことを示してくれていいシーンだと思います。ふらふらと感想を見ていると個別いらなくね?という声が聞こえてきますがこのシーンにたどり着くために必要なのだと思っています。彼が必死になって集めて交流した人がどういう思いで彼を見ていたかを知るにはロミとの物語では語れませんから。

その要素が最も強く出ていたのが唯々菜です。彼女は能力の規模は違えど周太とよく似た存在だったと思います。そんな彼女が求めた普通の日常を通してメシアという優越感から生まれる存在意義ではなく、坂下唯々菜というどこまでも平凡な少女としての日常と愛すべき人達を守るために必死になる姿は印象に残ってます。別にラーメンだけのヒロインじゃなかった!

「ねぇ周太」

「誰も彼も、しょせんはテレビのタレントでいいじゃないか」

「そんな中から、いつかかけがえのないものができるよ」

「魂を分け合えるような誰かに会えるよ」

「君にとって君のおとーさんが、そうであったように」

「あの人は……家族だから……」

「うん。だから、家族のような人に巡り合えるよ」

「くそったれ。俺にはどうせ未来はない」

「そうだとしても」

「伝えたかったんだ」

「君が滅ぼそうとしている世界は、そういうところなんだと」

「君にとってかけがえのないものになりえた人達が住んでいるのだと」

多分この作品で新島夕が一番伝えたかったことはこれだと思います。どれだけくそったれで馬鹿馬鹿しくて時には憎いとさえ思う世界、でもその中には何よりも大切で愛おしくそのために何でも犠牲にできるセカイがそこに確かにあります。それを知っているからこそロミはどんなこともできて、彼のために何度も涙を流したのでしょう。個別ルートで彼女だけは彼のそばに居続けてくれました。だからこそΣとのこのやり取りが生まれたのだと思います。

「周太は、弱い自分を討ち果たして……世界の崩壊を止めたのです」

「私たちの星がもたらした……侵略のプログラムを、彼は打ち破って見せたのです」

「こんなこと、きっと彼以外の誰にもできなかった」

「手を伸ばせば全てを手に入れられる境遇を捨て……苦しみの果てに彼は消えていきました」

「そうして彼が世界を救ったのです」

「……きっとこの星の誰も知らない」

「彼がどれだけ立派だったかを」

「でも……私は……誰かに伝えたかったのです」

「あなたにだけでも……覚えておいてあげてほしい」

「そうしたら……彼は……少しは寂しくなくなるかもしれないから……」

その後の展開に関してはまあ色々思うところがありますが、死を恐れた彼女と恐れずに誰かを守ろうとした周太との対比は結構好きですね。そしてアインシュタインより愛を込めての意味…最初から決まっていたようですが流石に笑いました。でもそりゃそうですよね。少ない描写ではありましたが 彼なら周太を残して去るはずがありませんから。

ED後のシーンに関してはようやく手を放さずにいてくれたかと思うものでした。距離はあっても、どこにいるかはわからなくてもやっぱりロミは彼のもっとも愛すべき隣人であると思います。だからやっぱり先を読みたい。

というかこれで本気で終わりでいいと思ってんのか?

新島てめえまた2年前と同じ感想を抱かせやがって

これで筆を折ったら絶対に許さねえからな

 

FD

はやく告知

だせええええええ!!!!!!!!!!!

 

マジでお願いします…

10.終わりに

さて色々言いましたが結局は周太が誰かを愛して一緒に歩もうとするまでの物語です。なので次はヒロインと周太の物語を読みたいと思います。媒体は問いません。でも必ず書いてください。お願いします。

なにより最後の最後で回収しなかったロミの母親になるという夢をかなえてください。それだけは絶対にやってください。

そして最後になりますが素晴らしい作品でした。多分短さやエロシーンのことで色々言われるでしょう。でもまごうことなき名作です。何より期待していた物が読めました。さくら、もゆ。以来のものです。誰が何を言おうと自分にとっては。

だから本当にありがとうございました。次回作も期待しています。

 

(追記)

とあることに気づいたので。

豪華版の資料に周太の妹(偽)の没絵が掲載されています。

これにはとあるキャラとして存在しているとの記載があります。

名前も姿ももしかしたら変更になると書いてある辺り作中で出ていないと思われますが…もしかして誰かとの娘なのでは?因みに忍との子供は息子です。そしてΣによく似ています。

やっぱりFDはよ!